【若菜嘉晴氏の大分析1】2番手に東浜を選んだ秋山監督の継投策お見事

[ 2014年10月30日 11:12 ]

<ソ・神>6回2死一、二塁、大和を三振に抑えガッツポーズする東浜

日本シリーズ第4戦 ソフトバンク5―2阪神

(10月29日 ヤフオクD)
 大抜てきの東浜が阪神へ傾く流れを止めた。ソフトバンクが日本一に王手をかけたシリーズ第4戦。本紙評論家の若菜嘉晴氏(60)は、2―2の4回から登板した2年目の右腕・東浜の好リリーフが最大の勝因と分析した。東浜は秋山監督の大胆采配に応え、3回を1安打無失点。後続の救援陣の奮闘、そして延長10回の中村のサヨナラ弾につなげた。受け身に回り王手をかけられた阪神は、走攻守で攻められるかが第5戦のポイントと指摘した。

 シリーズを勝ち抜くために重要な要素となるのが継投だ。特に先発・中田が制球難から早々に崩れたこの試合。どうつないでいくかを注目して見ていたが、秋山監督の采配には驚かされると同時に感心させられた。

 ◆2―2の4回からあえて東浜を投入 2点差をあっと言う間に追いつかれ6四球の先発・中田を3回で早々と諦めた秋山監督。4回からの2番手は岩崎だとばかり思っていたら、何と東浜を送ってきた。長いイニングを投げられる投手ではある。ただ、CSファイナルSでも大敗した第3戦にロングリリーフしただけ。よくぞシリーズ第4戦のこの場面で投げさせた。

 東浜の持ち味はコントロールにぶれがないところにある。昨年は直球が入らずに変化球一本になって打たれるケースなどが目立ったが、この大舞台でしっかりコントロールできていた。4回はいきなり阪神・関本に四球を与えたが、後続を丁寧に打ち取った。5回には要注意の4番・ゴメスをカーブ、スライダーで追い込んでフルカウントから最後はツーシームで空振り三振に仕留めた。3回に2点差を追いつかれた直後の3イニングを無失点。阪神に傾きつつあった流れを食い止めた。その後の好継投、そして中村の劇砲を呼んだのは東浜の好救援にほかならない。

 プロ入り初めてのシリーズ登板。その投げっぷりを見てると、おそらくこういう大舞台に強いのだろう。そうした度胸と制球力、さらにデータも少ないことからの抜てきだったとは思うが、今季限りで退任する秋山監督にとっては「置き土産」という意味合いもあったのではないか。東浜にとってこの登板は最高の経験になったはずで、自信もついたろう。来年、投手陣の柱になるきっかけとなるなら、秋山采配は見事と言うしかない。

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2014年10月30日のニュース