中村 延長劇的サヨナラ弾!福岡での日本一舞い王手!

[ 2014年10月30日 05:30 ]

<ソ・神>サヨナラ3ランを放った中村を出迎えるソフトバンクナイン

日本シリーズ第4戦 ソフトバンク5―2阪神

(10月29日 ヤフオクD)
 ソフトバンクが王手をかけた。2―2で迎えた延長10回2死一、二塁から中村晃外野手(24)が右越えにサヨナラ3ラン。劇的な幕切れで今シリーズ初の延長戦を制した。ソフトバンクは対戦成績を3勝1敗とし3年ぶりで南海、ダイエー時代から通算して6度目の日本一にあと1勝とした。30日の第5戦に勝てば今季限りでの辞任を表明している秋山幸二監督(52)が「日本一」で最後の花道を飾る。
【試合結果 日本シリーズ】

 一塁へ走りだすと、同時に両手を広げた。延長10回2死一、二塁。呉昇桓(オスンファン)の投じた5球目の内角148キロを力の限り振り切った。中村の打球が右翼ポール際へと吸い込まれていく。本塁には歓喜の輪が待ち受ける。ヘルメットを放り投げた背番号60は、その輪の中へと身を任せた。

 「最高です。ポストシーズンで結果を出せていなかったので、何とか打ちたいと思った。ファウルになりそうだったけど、切れないでよく飛んでくれた」

 サヨナラ本塁打はプロはもちろん、アマ時代を含めても野球人生初。ナイターの試合でも午前10時半には球場入りする人呼んで「練習の虫」。層の厚いチームで台頭できたのは危機感と競争心を持ち続けた結果だ。中村は言う。「他の(層の厚くない)チームなら試合に出られるとか(甘いことを)言っていたら、どのチームでも出られない」。何千、何万と振ってきたスイングがここぞの場面で生きた。

 今季リーグ最多安打に輝いたが、今シリーズは3戦目まで打率・091と不振にあえいでいた。1ボールから2球目、3球目と高く上がるファウル。正直、タイミングは合っていない。だが、ここで微調整した。「前に突っ込みぎみだったので少しですけど、テークバックを取った時、軸足に意識を持った」。1球ごとに修正し、5球目にぴったり合った。

 名門・帝京で4番を張り、高校通算60本塁打の実績を引っ提げてプロの門を叩いた。だが、自己分析し、バットを短く持ち、ファウルで粘る。泥くさく、ヒットを稼ぐ形にたどり着いた。昨季は109試合出場。今季はフル出場を目指しバランスを重視した「右打ち」を始めた。早出特打では最初、右打席に立つ。一方向だけに体が回転することで軸の崩れを予防する。「昨年は背中が痛くなることがあったんですけど、今年はそれがありません」。

 12年までは通算72試合の出場だった中村の才能に着目し、実績ゼロだった13年に突然、レギュラーに抜てきしたのが秋山監督。もはや、不動のレギュラーである。その秋山チルドレンは「(第6戦で)甲子園に行くと、流れが変わる可能性がある。早めに決めたい」と言った。

 甲子園2連戦を1勝1敗で乗り切り、地元で2連勝。今季限りで退任する秋山監督は「期待はしていたが、中村の一振りで決まるとはまさか思わなかった。あした(30日)がヤフオクドームで最後の試合。ぜひ勝ちたい」。3年ぶりの日本一を奪回は、ユニホームを脱ぐ日でもある。寂しさはある。ただ、それ以上の喜びが待ち受けているはずだ。

 ◆中村 晃(なかむら・あきら)1989年(平元)11月5日、埼玉県生まれの24歳。帝京2年時の春に投手から野手に転向。2、3年夏の甲子園8強で、3年春のセンバツは4強。高校通算60本塁打。07年高校生ドラフト3巡目で、ソフトバンク入団。11年に1軍初昇格し今季はキャリアハイの143試合に出場し打率.308、4本塁打。1メートル75、82キロ。左投げ左打ち。

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