報徳のイチロー満点投球!29年ぶり4強

[ 2010年8月20日 06:00 ]

<新潟明訓・報徳学園>4回、新潟明訓・伊藤を空振り三振に切り飛び上がって喜ぶ報徳学園・田村

 【報徳学園2-1新潟明訓】1年生右腕の「報徳のイチロー」が、チームを29年ぶりのベスト4に導いた。

 先発した田村が、あれよあれよと8回2死まで1失点投球。「(残り2試合も)お兄さんのような3年生の先輩たちと長い、熱い夏を過ごせるようにしたいです」と童顔を思い切りほころばせた。

 名前は伊知郎。「気合を買った」(永田監督)と大一番の先発を託された。前日には指揮官から、02年センバツ優勝投手の大谷(現ロッテ)を引き合いに「お前は報徳のユニホームから出てくるような気持ちが出てきていない」としったされたばかり。だから立ち上がりから飛ばした。直球のMAXは142キロ。切れ味満点のスライダーを交え、新潟明訓打線から計9三振を奪った。公式戦では自身初の100球超えとなる106球。「前回登板は逃げてばかりだったので、気持ちを出していこうと思いました」と振り返った田村に、永田監督も「100点満点です」と喜んだ。

 努力の男だ。昨年10月に報徳学園の受験を決意して以降、毎日約15キロのランニングを欠かさなかった。「雨の日でも走っていました」と父・篤史さん(42)。張り切りすぎたのか今年2月には右すね痛を発症し、病院で検査を受けると疲労骨折寸前だった。そんな努力が、しゃく熱のマウンドでも生きている。

 金村(元近鉄、西武など)を擁して全国制覇を果たした81年以来、29年ぶりのベスト4。今大会ではその時と同じ8月15日に2回戦を突破し、同じ19日に4強入りを決めた。準決勝の相手は春夏連覇を狙う興南。「自分が投げるか分かりませんが、島袋さんに負けない投球がしたい」。“報徳のイチロー”の視線の先には「1番」しか見えていない。

 ◇田村伊知郎アラカルト

 ◆生まれ 1994年(平6)9月19日、神戸市北区生まれの15歳。
 ◆サイズ&パワー 1メートル71、70キロ。握力は右63キロ、左64キロ。50メートル6秒7、遠投100メートル。最速144キロ。右投げ左打ち。
 ◆球歴 箕谷小2年で野球を始め、当初は捕手。山田中では軟式野球部に所属し中1から投手に。報徳学園では1年春から背番号18でベンチ入り。
 ◆名前の由来 イチローがブレークした94年、9月19日午前11時1分に誕生し、教師である父・篤史さん(42)が当時1年1組の担任をしていたため。字画の関係で「伊知郎」に。
 ◆秀才 報徳学園の入試では約200人中トップクラスで合格。

 ▼金村義明氏(81年度卒、野球評論家)猛暑の中で息子ぐらいの年齢の選手が頑張っているのを見ていると涙が出てくる。大西くん、田村くんもよく投げているし、アルプス席も含めて全員で戦っている感じがするね。無欲で、目の前の試合に完全燃焼してほしい。

 ▼楽天・片山(06年卒)うれしいし、僕も励みになります。ピッチャーがいいし守りもしっかりしているから大丈夫。先制点を取って相手にプレッシャーをかける戦い方をしていってほしい。

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2010年8月20日のニュース