一二三意地の完投!原先輩超え40年ぶり4強

[ 2010年8月20日 06:00 ]

<東海大相模・九州学院>3失点完投の投球を見せた一二三

 原先輩を超えた!第92回全国高校野球選手権大会第13日は19日、甲子園球場で準々決勝の残り2試合を行い、東海大相模はエース一二三慎太投手(3年)が、強打の九州学院を相手に3失点ながら完投勝利。原(現巨人監督)らを擁した74、75年のベスト8を上回り、70年以来40年ぶりのベスト4進出を果たした。20日の準決勝では成田・中川諒投手(3年)と好投手同士の投げ合いとなる。

【試合結果
組み合わせ


 【東海大相模10-3九州学院】一二三はあくまで直球勝負にこだわった。8回。先頭打者は1年生4番の萩原だった。前2打席も直球で連続三振。結果は138キロ直球を中前打された。それでも迷うことなく、思い切り腕を振って投げられる。それが何よりも大事なことだった。

 「他に投手はいるから、この試合でつぶれてもいい。(最後まで)投げきろうと思っていた。でも(8回に)一気に3点。力不足です」

 猛暑の中で153球を投げ、MAXは146キロ。7回まで4安打無失点投球だった。8回に5安打。センバツ初戦も自由ケ丘(福岡)に8回に3点を奪われ逆転負けした。同じ試合展開を思わせる中、3失点で切り抜け最後まで投げきった。門馬監督も「相手の粘り強さを上回る粘りがあった」と底力に敬服した。

 どん底からはい上がったから今がある。フォームに悩み苦しんだセンバツ直前。大阪入り後も、やみくもに1日300球も投げ込む日があった。それでもフォームは固まらない。遠投も入学時の120メートルから、腕が振れずに110メートルに落ち込んだ。それが今や、迷うことなく腕が振れる。いまだ発展途上で「投げ方は未完成」(門馬監督)ながら、大阪入り後も連日の投げ込みは30球程度。余裕を持った調整で、本番での好投につなげている。

 原(現巨人監督)らを擁して黄金時代といわれた74、75年はベスト8止まり。その先輩を超え、40年ぶりのベスト4に進出した。「チームの歴史は意識せずに戦う」と一二三。名門を背負うエース。最後まで投げ抜く覚悟はできている。

 ▼巨人・原監督(76年度卒OB。遠征先の名古屋市内の宿舎でテレビ観戦) 熱い試合を見せてもらった。(一二三が)テンポのいい投球をしていたね。(優勝へ向けて)ベストを尽くして戦ってもらいたい。

 ◆70年の東海大相模 前年に甲子園初出場を果たし、2年連続出場となった初年の唐津商(佐賀)戦では上原、福島の投手陣が14四死球を与えながら5―4で辛勝。準々決勝の滝川(兵庫)戦、準決勝の岐阜短大付(岐阜)戦はいずれもサヨナラ勝ちで決勝に進出した。決勝では大会屈指の好投手・新美(元広島)を擁するPL学園(大阪)に10―6で打ち勝ち初優勝。初戦から1度もスクイズを使わない、当時としては珍しい戦いぶりに加え、18失点は優勝チームとしては最多失点タイ記録だった。3番の井尻は後に社会人・日本生命の監督に。また巨人の原監督の父で65年には三池工で優勝していた原貢監督は、2校にまたがって優勝した初の監督となった。

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2010年8月20日のニュース