岩隈よみがえった!44日ぶり完投で7勝目

[ 2009年7月29日 06:00 ]

<楽・西>お立ち台に立った完投勝利の岩隈久志

 【楽天5―1西武】プロ野球は28日、後半戦が開幕し、楽天・岩隈久志投手(28)が西武13回戦(盛岡)に先発。今季初の2ケタ奪三振となる9回1失点で、6月14日の横浜戦(Kスタ宮城)以来44日ぶりの7勝目を挙げた。6月に右ひじ痛で戦線離脱した同投手は今季2度目の完投勝利で、3位・西武に3・5ゲーム差と接近。悲願のクライマックスシリーズ(CS)進出へ、エースの“復肩”とともに楽天の後半戦反攻が始まる。

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 この1球だけは、高さもコースも関係なかった。9回2死二、三塁、カウント2―0からの3球目。この日、最速タイの147キロの真ん中高めの直球に、G・G・佐藤のバットは空を切った。制球が生命線の岩隈が、気迫で奪った10個目の三振。エースの“復肩”だった。
 「しっかり腕が振れて、久しぶりにいい真っすぐがいっていた。球離れも今年一番よかったし、完投できたのでこれを自信にしてやっていきたい」
 もがき苦しんだ前半戦のうっぷんを晴らすような投球だった。初回、3安打で1点を失ったが、この日は違った。2回から持ち味の低めを丁寧に突く投球がさえた。2回無死一塁は大崎、3回1死一塁は中島を二ゴロ併殺。27アウトのうちゴロで奪ったアウトは12。加えて今季初の2ケタ奪三振で、フライアウトは5つだった。
 「監督にもいろいろ言われていたけど、低めの制球が戻ってきた」。3月のWBCで見せた地をはうように手元で伸びる速球が復活した。この背景にあったのが、野村監督からの助言だった。全体練習が行われた26日。指揮官が異例の直接指導。指摘を受けたのは左足を上げてからリリースまでの右腕の動きだった。「1、2、3で投げるんだが2が短すぎる。腕の動きが忙しすぎる気がする」と解析。岩隈も「投げ急いで、低めに(ボールを)引っかけていた。長く持ってという意識を持って投げた。自分でも分かっていたことだけど、ちょうどいい時期にアドバイスをもらえたと思う」と振り返った。
 技術面だけでなく、野村監督は思いのたけもぶつけていた。今月14~16日の敵地での西武3連戦中のこと。選手宿舎となった東京・立川のホテルの一室で岩隈と1時間以上、話し込んだ。“エースは先発完投”を理想とする指揮官は「自分勝手なことをしてマウンドから降りたらいかん。エースはチームのかがみ」と諭し続けた。これまではメディアに愚痴ることはあっても、これだけの対話を持ったのは就任以来初めてのことだった。
 すべては悲願のクライマックスシリーズ進出に向け、岩隈の力が必要不可欠だからだ。それだけに、野村監督は試合後「安定感あるピッチングをした。監督としては非常にありがたい。彼が頑張ってくれればAクラスへの希望がわいてくる」と絶賛。3位・西武に3・5ゲーム差に迫る1勝に、岩隈も「これまでの分を取り返したい。上にいるチームを倒していかないと…。とにかくいい投球を続けていきたい」。その言葉には、復調の手応えが込められていた。

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2009年7月29日のニュース