【世界陸上】やり投げ銅・北口榛花と一問一答「友達と遊べなかったりコーチとケンカしたり…」

[ 2022年7月23日 13:40 ]

陸上・世界選手権第8日 ( 2022年7月22日    米オレゴン州ユージン・ヘイワードフィールド )

銅メダル!コーチに抱きしめられながら号泣する北口(AP)
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 女子やり投げの決勝が行われ、日本記録保持者の北口榛花(24=JAL)が63メートル27をマークし、銅メダルを獲得した。メダル獲得は、五輪も含め、投てき種目では日本女子初の快挙となった。

 今大会の目標は日本人として11年大邱大会の海老原有希(8位)以来となる入賞。予選後は「自分は自分のことに集中して頑張りたい」と完全燃焼することを誓っていた。当初の目標を大きく上回り、言葉通りに最高の結果を出してみせた。

 競技後、取材エリアでの一問一答は以下の通り。

  ―率直な思いを。
 「凄くうれしいのが一番で。なかなかうまくいかなかった時期もたくさんありましたし。海外で過ごす時間が長くて家族と過ごせなかったり、友達と一緒に遊べなかったり。コーチとたくさんケンカしたりもあったけど。ここまで戻ってこられた。ユースで勝ってから、また世界に戻ってこられたのはうれしいこと。このメダルがまた、日本女子やり投げ界の勢いを加速できたらいいなと思います」

 ―メダルを獲れた瞬間は?
 「正直、ダメだと思って。絶対に後ろの2人が強いと分かっていたので。絶対に抜かれると思っていたので。ダメだ、ダメだととコーチに言っていた。抜かれなかった時、あんまりよく分からなくて。ホッとした安心感が強かったです。ホッとしちゃいけないんですけど。自然に涙が出てきました」

 ―投てきを振り返って。
 「今季は1回目を大事にと言われているので。1投目で62メートルを投げられたのが、安心してその後の試技に臨むことができたけど。でも、今シーズンは少し人が多い試合をあまりしていなかった。5投目はうまくグリップが握れなくて。真下にやり先が向いたまま55ぐらいまで飛んだと思うんですけど。そのぐらい力があるなら普通は投げられるでしょと言われて。それで6投目に臨んだけど。自分の中では、完璧な投てきができたイメージはなくて。物足りない投てき内容だったので。2番まで上がると思っていなかった。映像のラインも超えていなかったから“あ~”と。銅メダルのラインより手前に刺さっていると思ったから。ダメだったか、と思っていたけど。よく分からないけど銀メダルまで上がっていた」

 ―コーチのもとに行った時は?
 「表示を見て“2番じゃん”ってなって。でも残りのメンバーを見たら…。しかも2センチ差とかだった。コーチには、この後の試技は見るなと言われて。スタンドの方を見ていて。アメリカの選手は強かったし、最後の中国の選手もドキドキしながら見ていました。コーチと途中でケンカしたけど、良かったです。これでケンカして結果が悪かったら、最悪の雰囲気で帰ることになりそうだったんで(笑い)」

 ―どんなケンカ?
 「集中しろとめっちゃ言われた。でも、こっちは“ここにいて集中しない人はいないでしょ”と思って。毎回、言われるから凄く腹が立ってきて、ケンカしました」

 ―終わったからは何と声を掛けられた?
 「あんまり話はしていないけど、おめでとう、と言われた。その前は、6投目が64いかなかったことが残念だと言われて、はい、と聞いていたんですけど。でも、コーチの方が私が投げる時に緊張していたと思う」

 ―セケラックコーチと二人三脚でやってきた。
 「違った文化を受け入れることは簡単ではないし、長い移動もたくさんして日本に来てくれたり。チェコに家族がいて、教えている子もいながら私のためにその行動を取ることはなかなかできないので。凄く感謝しています」

 ―コーチは泣いていた。
 「日本人になったのかな(笑い)」

 ―一度、順位が落ちた時の思いは?
 「5位ぐらいまで落ちた時は、乗り越えないといけない局面だと思ったし。ここ最近はそういう試合がなくて、6投目が強いイメージはあまりないと思うんですけど。でも、高校時代は6投目が強かったので。その時の気持ちを思いだして、6投目ができる子だと思ってやりました。自分がもっと投げられるのに、投げられていないというのが嫌だったので。自分が投げられる最大限の距離を投げようと思って投げました」

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