朝乃山 三段目全勝優勝で「恩返し」第一歩 7場所ぶり復帰の元大関、貫禄7連勝

[ 2022年7月23日 05:25 ]

大相撲名古屋場所13日目 ( 2022年7月22日    ドルフィンズアリーナ )

朝乃山(左)は寄り切りで大青山を破り三段目優勝を決める(撮影・奥 調)
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 日本相撲協会の新型コロナウイルス感染対策ガイドライン違反による6場所の出場停止処分が明けて西三段目22枚目で復帰した元大関の朝乃山(28=高砂部屋)が7戦全勝で三段目優勝を決めた。全勝同士の一番で大青山(22=荒汐部屋)を寄り切り、再起の場所を取り終えた。秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)では幕下に戻り、関取返り咲きを目指す。

 復帰場所を優勝で飾っても表情を緩めることはなかった。

 「今まで応援してくれた方々に申し訳ない気持ちがあった。それでも支えてもらったので、少しでも恩返しができれば」

 418日ぶりの白星を挙げた2日目と同様、自身が起こした不祥事に対する反省と、周囲への感謝の言葉を繰り返した。

 勝って当然というプレッシャーもあったはずだ。対戦相手の大青山はデビュー3場所目でまげも結えない若手。静岡・飛龍高で活躍した実力者ではあるが、幕内優勝を果たしたこともある元大関とは経験が違う。「優勝のことは考えず、自分の相撲を取り切ることだけ考えた」。左四つ得意の相手に右を差し勝って左上手を引いて万全の寄りで完勝。師匠の高砂親方(元関脇・朝赤龍)が審判として土俵下で見守る中、圧倒的な実力を見せた。

 「勝ち負け関係なく、もう一度土俵で相撲を取らせていただけることへの感謝の気持ちを忘れずに」。神妙な面持ちで言葉を紡ぐ姿に実感がこもった。無事に7番を取り終え「帰って師匠に報告したい。今まで支えてもらった方に連絡したい」と、まずは感謝の気持ちを伝えることを望んだ。失望させてしまった人、それでも応援し続けてくれた人、たくさんの支えに対し、今度は恩を返していく。

 1年間の長い出場停止期間中、2人の恩師の存在に思いをはせた。富山商高の浦山英樹前監督と近大の伊東勝人前監督。ともに大関昇進を見届ける前に天国へ旅立っている。「先生方がいなければ大相撲に入っていなかった。うそをついてしまって、恩師の期待も裏切ってしまった。なぜ大相撲に入ったのか、一から考え直した」。亡き恩師への思いから自分を見つめ直し、心を入れ替えた。

 三段目22枚目で全勝したため、来場所は幕下15枚目以内に番付を上げることが予想される。来場所も全勝なら最短で九州場所での関取復帰の可能性もある。今後の目標は「もう一度上を目指して、皆さんに応援してもらえるような力士を目指していきたい」。反省と感謝を胸に、再起の道は続いていく。

 ≪来場所は幕下12枚目前後≫三段目で7戦全勝した場合、翌場所の番付は70枚前後上がることが多い。夏場所で7戦全勝だった神谷(陸奥部屋)は西三段目29枚目から名古屋場所で東幕下19枚目に上昇。西22枚目の朝乃山の場合、秋場所で12枚目前後に位置することが想定される。ただし、今場所はコロナ関連の休場で番付据え置きとなる力士が大量に発生することが想定されるため、秋場所の番付編成は変則的となる可能性もある。

 ◇朝乃山(あさのやま=本名石橋広暉)西三段目22枚目、富山市出身、高砂部屋。富山商高―近大から16年春場所に三段目100枚目格付け出しで初土俵。17年春場所新十両。19年夏場所で平幕優勝。20年春場所後に大関昇進。新型コロナウイルス対策の指針違反で21年名古屋場所から6場所出場停止処分。優勝1回。殊勲賞2回、敢闘賞3回、技能賞1回。得意は押し、右四つ、寄り。1メートル87、170キロ。28歳。

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