【世界陸上】高野進氏が見た男子400mリレー バトンパスに課題も新チーム構築の第一歩

[ 2022年7月23日 18:15 ]

陸上・世界選手権第8日 ( 2022年7月22日    米オレゴン州ユージン・ヘイワードフィールド )

男子400メートルリレー予選に出場した日本の選手たち(AP)
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 男子400メートルリレー予選が23日に行われ、日本は坂井隆一郎(大阪ガス)、鈴木涼太(スズキ)、上山紘輝(住友電工)、柳田大輝(東洋大)でのフレッシュな布陣で挑み、38秒78の1組4着となったものの、その後失格となった。男子400メートル日本記録保持者の高野進氏がレースを解説した。

 当初考えていたオーダーでいけなかったのは残念だ。急きょ組み替え、ベストメンバーではなかった。事前にリレー合宿を組んでおらず、サニブラウンも米国拠点のため徹底的にバトンパスの練習が満足にできなかったと思う。バトンパスに課題が残った印象を受けた。

 初の2走の選手が冷静さを保つのは難しい。若いメンバーなので安全策より思い切りいったのか、攻めた結果、加速が良すぎたのか。マークより早く出てしまったのかは分からない。ただ、バトン練習が不十分で、さらに急きょオーダー変更で対応できなかった。タイムも目標ラインより1秒ほど遅い。走力的にもバトン的にも不十分だったと言わざるを得ない。去年の東京五輪、今年とバトンミスが出たのは残念。その反省を生かさないといけない。

 今回はチャレンジという意味で、新しいメンバーでどう戦えるかのトライアル。ここから来年の世界選手権、24年パリ五輪と国際大会が3年連続で続く。守りに入るより、いろんなパターンで新チームを構築していく第一歩だった。

 日本は精度の高いバトンパスで成績が出せていた。今後は、オーダーのパターンが固まってくるといいと思う。24年パリ五輪や、東京開催が決まった25年世界選手権に向けては、いつものメンバーに近い形で組んでほしい。これなら安心、というメンバーで組めるまで冒険すればいい。

 山縣や桐生の世代が黄金世代だったが、次の世代のメンバーも出てきた。今回は若手に重圧が一気にのしかかってきたのできつかったと思う。東京五輪メンバーは来年以降に備えている。新旧の選手が入り交じり、今後は層が厚くなっていく。100メートル9秒台、200メートルで20秒を切るくらいの選手たちがどんどん出て、高いレベルでバトンをつなぐことできれば、メダルは取り戻せる。(男子400メートル日本記録保持者、92年バルセロナ五輪8位、東海大体育学部教授)

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2022年7月23日のニュース