元横綱・白鵬 引退会見で照ノ富士を後継指名「託せるなと感じた」現役最後の対戦相手

[ 2021年10月2日 05:30 ]

引退の記者会見後、家族から花束を贈られ笑顔を見せる元横綱白鵬。約20年間で、史上最多45度の優勝に輝いた(代表撮影)
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 大相撲で史上最多45度の優勝を誇り、9月30日付で引退した間垣親方の元横綱・白鵬(36)が1日、東京・両国国技館で会見し、名古屋場所10日目に決断したことを明かした。師匠、家族らに感謝の言葉を並べ、長らく第一人者として君臨した約20年間の力士生活に悔いなしを強調。また現役最後の対戦相手となった新横綱・照ノ富士(30=伊勢ケ浜部屋)を後継者として指名した。

 約20年間の土俵人生に悔いはなかった。元白鵬は「ホッとした気持ちでいっぱい。全部出し切りました」。引退の理由に「右膝が言うことを聞かなくなった」と3月に手術を受けた箇所の悪化を挙げた。決断したのは、進退を懸けた7月の名古屋場所10日目とし「10勝の目標を達成した時に部屋の皆さんに伝えた」と明かした。

 土俵上と違う緊張感を漂わせ、最後の思いを語った。前日は日本相撲協会の規則を守るなどの誓約書に署名して年寄「間垣」襲名が認められた。その影響で重苦しい空気が流れた。「大変緊張しております」と硬い表情。冒頭のあいさつでは言葉がうまく続かず、横綱審議委員会からの乱暴な取り口への批判については手元の紙を見ながら語る場面も。「鬼になって勝ちにいくのが横綱と考えていた。横綱相撲を目指したこともあったが、その期待に応えることはできなかったかもしれない」と神妙に述べた。

 今後は宮城野部屋付きの親方として後進の指導に当たる。自身がスカウトし19歳で十両に昇進した2メートルの北青鵬ら部屋には将来性豊かな若手もいる。「一から親方として勉強して頑張っていきたい。優しさと弟子思いの親方になっていきたい」と“鬼の横綱”から“仏の師匠”になることを誓った。 

 一つの時代が終わった。大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花…。大横綱の引き際には必ず後継者の存在があった。現役最後となった名古屋場所千秋楽。全勝優勝を懸けて対戦した照ノ富士は場所後に横綱に昇進。秋場所で新横綱Vを果たした。「名古屋場所では肌で感じ、後を託せるなと感じた。頑張ってもらいたい」とモンゴルの後輩横綱を「後継指名」した。

 ◇白鵬 翔(はくほう・しょう=本名同じ)1985年3月11日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の36歳。モンゴル相撲の大横綱で、メキシコ五輪のレスリングでモンゴル初のメダル(銀)を獲得した父を持つ。15歳で来日し、宮城野部屋から01年春場所で初土俵。04年初場所で新十両。同年に入幕し06年夏場所で大関に昇進。その場所で初優勝。07年名古屋場所で第69代横綱に昇進した。10年に史上2位の63連勝。通算1187勝は史上1位。19年9月に日本国籍取得。史上最多の優勝45回など通算1187勝247敗253休。殊勲賞3回、敢闘賞1回、技能賞2回。得意は右四つ、寄り、上手投げ。1メートル92、155キロ。家族は紗代子夫人と1男3女。

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2021年10月2日のニュース