小祝 3差逆転で今季3勝目!賞金1億円突破&初のトップ 躍進の裏に2つの成長

[ 2021年3月22日 05:30 ]

女子ゴルフツアー Tポイント×ENEOS最終日 ( 2021年3月21日    鹿児島県 鹿児島高牧CC=6424ヤード、パー72 )

前週のTポイント×ENEOSで優勝し、満開の桜の木の前で喜ぶ小祝(撮影・中村 達也)
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 降雨サスペンデッドとなった第2ラウンドの残りと最終ラウンドが行われた。3打差4位から最終ラウンドをスタートした「黄金世代」の小祝さくら(22=ニトリ)が3バーディー、1ボギーの70で通算10アンダーに伸ばし、逆転で通算4勝目を手にした。今年初戦に続く2週ぶりの20~21年シーズン3勝目。シーズン獲得賞金は1億円を突破し、自身初の賞金ランキングトップに立った。渋野日向子(22=サントリー)は72と伸ばせず、通算5アンダーの11位で終えた。

 4人が通算8アンダーで首位に並んで迎えた15番パー4。ティーが前に出され、ピンまでは250ヤード。右には池、左には林が待ち受けたが、小祝は心を決めた。「ここは攻めなきゃ」。上着を脱ぎ、1オンを狙って1Wで放ったショットは池のある右へ。1ヤード右に曲がればカート道で弾み、池だったが、運命は勇者にほほ笑む。ピンまで20ヤードのラフへ落ち、第2打を1メートルに寄せてバーディー。この日初めて単独首位に立った。

 「ボールが追えてなくて最初は池に入ったんじゃないかなと。ぎりぎりだったのでラッキーでした。まさか勝てると思っていなかったのでびっくりです」

 帽子が飛ばされるほどの風が吹きつけた最終日。3打差逆転の裏には2つの成長があった。まずは低い球を打つ技術。弾道が高い小祝の打球は風の影響を受けやすく、19年のオフから抑えて打つ練習を重ねた。2番は125ヤードを9Iでコントロールして2メートルにつけたバーディー。この日のベストスコア70は「その成果」と胸を張る。

 もう一つはマネジメント。ルーキーイヤーはコースメモに「集中」など気持ち面しか書き込んでいなかった。辻村明志コーチ(44)から距離、グリーン傾斜などを詳細にメモするよう助言を受け、白い部分ばかりだったメモ帳にぎっしり数字が書き込まれるように。その変化が、初めて回ったコースでの優勝につながった。

 鹿児島は原点の地。地元・北海道の冬は寒さが厳しく、プロテスト合格前の高3時に薩摩郡のコースに住み込みで1カ月の合宿をした。午前6時から10時まで、来場者のキャディーバッグを車からコースに運んでから練習。それ以来だった鹿児島で今季3勝目を挙げ、獲得賞金は1億円を突破。賞金ランクで初の首位に立った。

 それでも、22歳の素顔は変わらない。勝利へのモチベーションは前夜に250円で買ったLINEのうさぎのスタンプ。「稼ぐためにも何かに使おうと。意外とするなと思ったんですけど…」と笑いを誘った。3月の21年初戦から3戦2勝と、まさにサクラ咲く。しかし「賞金女王目指して。もっと頑張らないと」と小祝。そう、春本番はこれからだ。

 ≪自身最大差の逆転≫小祝は4勝のうち3勝が逆転優勝。19年サマンサタバサ・レディースは2打差の2位、21年ダイキン・オーキッド・レディースは2打差の3位から逆転した。3打差の4位から優勝した今大会が自身最大の逆転劇。

 ◆小祝 さくら(こいわい・さくら)1998年(平10)4月15日生まれ、北海道北広島市出身の22歳。宮里藍さんのファンだった母・ひとみさんの影響で8歳からゴルフを始める。飛鳥未来高卒業後、17年のプロテストに一発合格。19年サマンサタバサ・レディースでツアー初優勝。趣味はプロレス観戦と釣り。1メートル58、58キロ。

 【勝者のクラブ】▼1W=スリクソン・ZX5(ロフト角9・5度、シャフトの長さ45インチ、硬さS)▼3、5W=スリクソン・ZX(15、18度)▼4U=スリクソン・ZH85(22度)▼5I~PW=スリクソン・Z585▼ウエッジ=クリーブランド・RTX―3(47、51、58度)▼パター=オデッセイ・ストロークラボ セブンCS(マレット型)▼ボール=スリクソン・ZスターXV

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2021年3月22日のニュース