【橋本聖子会長×二宮清純氏特別対談(4)】五輪契機に新しい観光モデルも創出を

[ 2021年3月22日 08:38 ]

東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本会長と対談する二宮清純氏(撮影・会津 智海)
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 二宮 IOC内には「もっと招待客の枠を確保してほしい」という声もあると。

 橋本 そういう声はたくさんあると思います。一方で厳格なコロナ対策をやってほしいという要望も受けます。ビジネストラック、アスリートトラック(注4)ももっと柔軟に対応していいんじゃないかと要望されます。どっちも大切だけれど、どっちを優先するか、組み合わせるのは物凄く大変です。

 二宮 元々政府与党は外国から観光客がたくさん来日し、インバウンドで景気が刺激されて政権浮揚に結びつけばいい、と考えていた。橋本会長が属されていた細田派の細田博之会長は観光産業振興議連の会長です。昨年秋には「無観客で実施すれば、観光業は危機にひんしてしまう」と警戒感をにじませていました。

 橋本 どんどん検査をして、問題ない人には入ってきてもらった方がいいんだという考え方はまだまだあります。コロナがなかったらインバウンドは4000万人の目標を掲げていて、地方創生にもつながっていくと考えていました。それが国として五輪・パラリンピックに求めるものでした。これがゼロに近い状況になる。人を呼べない中で、観光業はどう成り立つのか非常に難しいけれど、この東京大会をきっかけに、新しい観光モデルが出来上がっていくことを今、観光業界は望んでいます。全ての産業において、新しい価値観を求めて、新しいチャレンジをしていかないといけない。東京大会は全てのモデルケースです。

 (注4)アスリートトラック=アスリート用東京オリパラ準備トラック。東京五輪・パラリンピックに向けた外国選手や関係者に対し、必要な防疫上の措置を講じた上で入国を認め、入国後14日間の待機期間中も活動を可能とする特例措置。日本人ではJOC強化指定選手を対象に、海外からの帰国後14日間に強化活動が可能。

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2021年3月22日のニュース