ラグビー日本代表・稲垣啓太 母校新潟工に300万円寄付、天然芝グラウンド完成「希望の場所に」

[ 2019年9月9日 05:30 ]

稲垣の寄付で完成した新潟工の天然芝グラウンドの看板には自身の名前が刻まれた(撮影・中出健太郎)
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 ラグビーW杯日本代表のプロップ稲垣啓太(29=パナソニック)が8日、新潟市の母校・新潟工を訪れ、天然芝の新グラウンド開きとW杯壮行会に出席した。母校の部員減少を救い、故郷で競技を発展させるために約300万円を寄付し、多忙な日程を縫ってW杯開幕直前の凱旋を実行。ラグビーを始めた原点の地がリニューアルされ、W杯での恩返しを約束した。

 同級生や恩師に囲まれ、普段笑わない稲垣が何度も笑みをこぼした。「笑ってる」と指摘されると「たまには普通に笑いますよ」と無表情に戻ったが、芝の感触を確かめて「2カ月前まで土だったとは思えない」と感激。公立校には珍しい天然芝で早速プレーする子供たちの姿に、細い目をさらに細めた。

 花園出場43回の北信越の雄・新潟工も今春の新入部員はわずか7人。「廃部の危機を感じた」という樋口猛監督は施設充実のため、かねて計画していたグラウンドの天然芝化を実行に移した。恩師から資金の相談を受けた稲垣も快諾し、芝の苗や芝刈り機、散水用ポンプ購入のため約300万円を寄付。5月には母校で苗作りも手伝った。7月に植えられた約4万5000株の芝は部員やスタッフの必死の作業で猛暑を乗り越え、鮮やかな緑のピッチに変身。稲垣は「お金の部分しか協力できなかった」と謙遜したものの、樋口監督は「芝のグラウンドで稲垣をW杯へ送り出す。見たかった光景が実現した」と涙ぐんだ。

 稲垣にとって母校のグラウンドは競技を始め、仲間の大切さを学んだ原点の地。「原点がさらに特別な場所になった。将来は大会が開かれるような、新潟のラグビーの希望の場所となってほしい」と期待を込めた。W杯前最後のオフを利用して訪れた母校で500人以上から激励を受け、「恩返しのためにもいい結果を報告したい」と決意表明したジャパン不動の1番。6日の南ア戦で敗れた悔しさを「ロシアとの開幕戦で爆発させる」と意気込んだ。

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