ソフト上野 7度目のノーヒッター達成、4月顔面骨折から完全復活「いい緊張感で投げられた」

[ 2019年9月9日 05:30 ]

第52回日本女子ソフトボール1部リーグ第6節   ビックカメラ高崎6―0シオノギ製薬 ( 2019年9月8日    全但バス但馬ドーム )

<ビックカメラ高崎・シオノギ製薬>ノーヒットノーランを達成した上野(日本ソフトボール協会提供)
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 兵庫県豊岡市の全但バス但馬ドームで8日に行われた日本女子ソフトボール1部リーグ(スポニチ後援)第6節で、ビックカメラ高崎の上野由岐子投手(37)がリーグ戦自身7度目のノーヒットノーランを達成した。下顎(かがく)骨折した4月27日以来、134日ぶりとなる先発マウンドで完璧なパフォーマンス。今年の全英女子オープンゴルフを制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が観戦する前で、日本のエースの貫禄を示した。

 上野へのリスペクトを公言する渋野が見守る前で、ソフトボール界の生きる伝説が真価を示した。6奪三振、わずか102球で、リーグ戦7度目のノーヒットノーランを達成。自身が過去8度達成している完全試合とまではいかなかったが、前日に初対面したゴルフ界のシンデレラガールの前で最高の結果を示した。「凄くいい刺激をもらいました。その結果を出せてよかった」と上野自身も喜んだ。

 ちょっとした“わがまま”が記録達成の裏にあった。「点差もあったし、本当は若い選手に投げさせなければいけないけれど、自分としても試合で投げることがリハビリなので、無理言って投げさせてもらいました」。3回を終えて6―0。ベンチ横では前日、2回途中5失点降板した浜村が投球練習を続けていたが、最後までマウンドを譲らなかった。

 「ケガしてから初めての先発だったので、いい緊張感で投げられたのが(記録に)つながったのかも」。4月27日のデンソー戦で打球を受け、下顎を骨折。長いリハビリ生活を余儀なくされた。ミニトマトすらかみ切れなかった。37歳、完全復活に疑問の声すら上がっていた。

 だが、上野は鉄腕であり、鉄人だった。8月30日に高崎で行われたジャパンカップのチェコ戦で復帰登板。この日は終盤こそ疲れも見えたが、外野に飛ばされた打球は最後の打者の中飛1本だけだった。「外野に飛んでいなかったのは気にしていなかった。自分の投球だけに集中していました」と平然と振り返った。

 毎年1月に自主トレをともにするソフトバンクの千賀滉大投手が6日のロッテ戦で育成選手出身初のノーヒットノーランを達成したばかり。弟分の快挙に続いただけでなく、東京五輪では“共闘”の夢も膨らむ妹分に「日本のエース」のゆえんも示した。この日は台風接近で、移動便確保のため、試合後に予定されていたサイン会はキャンセル。それでも、上野が巻き起こした復活快投の旋風は、1年後に向けて、全ての人の心を前向きにさせる力があった。

 《東京五輪、上野が開幕戦先発か》ソフトボールは6チームで争われる。開催国の日本、18年世界選手権優勝の米国など5チームが出場権を獲得。ベンチ入りは15人。全競技のトップを切って行われる開幕戦(福島)の7月22日は上野の38歳の誕生日で、宇津木監督はすでに先発を示唆している。

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