【玉ノ井親方 視点】低い立ち合いから…うまさ光った鶴竜、逸ノ城はなすすべなし

[ 2019年7月16日 19:49 ]

大相撲名古屋場所10日目 ( 2019年7月16日    ドルフィンズアリーナ )

<大相撲名古屋場所10日目>逸ノ城(左)を寄り切りで下した鶴竜(撮影・坂田 高浩)
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 鶴竜と逸ノ城の一番は、横綱のうまさが光った。立ち合いで踏み込んですぐに右を差し、左もねじ込んだ。相手に寄られたものの、土俵際で右に回り込みうまく体を入れ替えた。一度出し投げを打って態勢を崩すと、そこから前に出て寄り切り。逸ノ城はなすすべなしという感じだった。

 ポイントは立ち合いの低さ。鶴竜が頭から当たっている分、逸ノ城の態勢が高くなった。横綱はよく考えて取っていたと思う。

 同じ横綱でも白鵬は胸から当たってくる。しかも右の相四つだから、逸ノ城にとっては組みやすい。しかし、鶴竜は白鵬のように、いきなり四つに組むタイプではない。頭から当たってまわしを取りにくるから逸ノ城にすればやりにくい。それが鶴竜戦3勝12敗の成績に表われている。

 優勝争いは鶴竜が一歩リードしているが、まだどうなるか分からない。ただ、ここまでの動きを見る限り、鶴竜の方が状態は良さそうだ。白鵬は四つに組む相手には、組んで対抗できているが、押し相撲の力士が相手だと、うまく自分の形をつくれていない。少しバタバタする相撲内容が多い。終盤に入ってから、どうピッチを上げていくか注目したい。

 十両の安美錦が引退することになった。ここまで本当によくやったと思う。もう十分やり尽くした。これからは指導者として、いい力士を育ててくれるだろうと期待している。  (元大関・栃東)

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2019年7月16日のニュース