伊調 川井梨に負けた…7・6世界切符懸けプレーオフ再戦

[ 2019年6月17日 05:30 ]

レスリング 全日本選抜選手権最終日 ( 2019年6月16日    東京・駒沢体育館 )

全日本選抜レスリング選手権最終日 女子57キロ級決勝、うなだれて引き揚げる伊調(右)と優勝し妹・友香子(同3人目)と抱き合って喜ぶ川井梨(同2人目)=撮影・小海途良幹
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 世界選手権(9月、カザフスタン)代表選考会を兼ねて行われ、女子57キロ級は五輪4連覇中の伊調馨(35=ALSOK)がリオ五輪63キロ級金メダルの川井梨紗子(24=ジャパンビバレッジ)に4―6で敗れた。昨年12月の全日本選手権決勝に続く勝利はならず、東京五輪につながる4年ぶりの世界切符獲得は、来月6日のプレーオフ(和光市総合体育館)での再戦に持ち越しとなった。

 伊調は宿敵のリベンジを許す笛を聞いた瞬間から、現実を受け入れていた。「プレーオフに向けてしっかり反省して集中するだけ。落ち込んでいる暇はない」。続けて、前半勝負を掲げた中で後手に回った展開を振り返り「勇気ですね。梨紗子の圧もあったけど、自分の勇気が足りなかった」とこぼした。

 0―1で迎えた第2ピリオド。残り2分で右足首を取られて体勢を崩し、さらに体を回されて5点を追う展開になった。バックを取って2点を返し、最後まで追い上げたが及ばず。「今思えばアドバンテージがある余裕が出てしまったかもしれない。梨紗子の方が気持ちが強かった」。1次リーグから目立った、足を取られる場面についても「もう一歩前に出ればバランスは悪くならない。いかに気持ちで出られていないか」と分析した。

 昨年から当日計量となり、コンディションづくりにも苦戦。35歳という年齢も加わり、所属の大橋正教監督は「当日計量は本当に体力を消耗する」と試合までの立て直しの難しさを指摘する。3位に終わったアジア選手権前に負傷した両足首の古傷も抱え、伊調本人も「減量もケガの部分でも、一番難しいのは体づくり」と強調。それは「いかに自信を持って上がれるか」という心の準備にも響いた。

 ただ、悲観は全くしていない。「12月(全日本選手権)に比べたら一歩一歩前に進んでいる」。試合後に伊調と言葉を交わした八戸クラブの恩師・沢内和興氏は「落ち込む?昔からそういう子じゃない。チャンピオンじゃない、だから黙って前を向く。その繰り返しで来たから6日は大丈夫」と笑った。

 最終決戦へ原点回帰する。かつての圧倒的な強さはなくとも、全てを覚悟の上で昨年、前人未到の五輪5連覇を目指して復帰した。「ギリギリの戦いをいかに楽しめるか。純粋にレスリングが好きで戻ってきた、その気持ちを忘れずにやりたい」。その言葉に迷いはない。 

 ▽全日本選手権決勝VTR 第1ピリオドは伊調が場外に押し出され、0―1とリードされた。第2ピリオドは互いに相手のアクティビティータイム(消極的姿勢により30秒間無得点だと相手に1点)中に1点を奪って1―2に。残り10秒で伊調が川井の右足をつかんで倒し、逆転勝ちした。

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