東海大 総合初V!8区小松が区間新快走で逆転、青学5連覇止めた

[ 2019年1月4日 05:30 ]

第95回箱根駅伝復路 ( 2019年1月3日 )

ガッツポーズで戸塚中継所に駆け込む東海大・小松(撮影・会津 智海)
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 “黄金世代”の力を結集させた往路2位の東海大が、復路を5時間24分24秒の2位ながら総合10時間52分9秒の大会新記録で初の総合優勝を飾った。8区(21・4キロ)小松陽平(3年)が22年ぶりの区間新記録更新となる走りで東洋大を一気に追い抜き、後続も2位との差を広げた。往路、復路ともに2位以下での優勝は82回大会の亜大以来13年ぶり。優勝候補に挙げられながら箱根では結果を残せなかった「湘南の暴れん坊」が両角速監督就任8年目でついに悲願を達成した。

 黄金世代の3年生が東海時代の幕開けを告げた。駅伝ファンから「湘南の暴れん坊」と呼ばれ親しまれる軍団が、下馬評を裏切り続けた過去と決別するかのように、力強く箱根路をじゅうりんした。合計217・1キロの終着点。3年生の郡司がガッツポーズでゴールテープをぶっちぎった。73年の初出場以来、46度目の挑戦で初めて東海ブルーが大手町の空を染めた。

 首位に立ったのは湘南キャンパスを構える8区だった。トップの東洋大と4秒差でたすきを受けた小松はすぐさま並走。14キロすぎの遊行寺坂手前でスパートした。「相手の嫌なところで一気に突き放せるのはあそこだった」。当日のエントリー変更での出場。箱根どころか3大駅伝初出場の小松が、破られることがないと思われていた古田哲弘の区間記録を22年ぶりに更新した。「(区間記録は)自分が生まれた年。まさかそんな大記録を自分が更新するなんて思っていなかった」と自分でも驚くほどの快走だった。

 偉大な記録を打ち破ったことが評価され、19年NHK大河ドラマ「いだてん」のモデルで箱根駅伝開催に尽力した金栗四三の名を冠したタイトルを獲得。これまで世界を意識したことはなかったが「今日の走りで五輪を狙ってみようかなと思えた」と笑顔を見せた。

 小松と同期の現在の3年生が箱根駅伝優勝を誓い東海大の門を叩いたときから「箱根V作戦」が始動していた。15年全国高校駅伝の1区(10キロ)を走った高校のエース級がそろったことで黄金世代と期待を集めた。両角監督も「今の3年生はいいスカウティングができた」と自信満々に箱根制覇をもくろんでいた。

 ところが周囲の期待とは裏腹になかなか結果に結びつかなかった。「トラックが速いだけ」。そんな声も聞こえるようになった。指揮官は反省も踏まえ、「両角メソッド」とでもいうべき手法で今大会に臨んでいた。11月の記録会に出場せず、同時期に合宿を敢行して距離に対応する強さを身に付けようとした。前回大会で順大の塩尻和也が記録会で結果を出したが、箱根駅伝では区間10位の不発に終わっていたことを例に挙げ「記録会に出るとダメージを負う選手もいた。思い切って合宿で足をつくるというふうに目先を変えました」。速さから強さへ。新たなチャレンジが結実した。

 来年度は10区間中7人を占めた“黄金世代”の3年生が最上級生となる。箱根のいだてんとなった小松は「僕は同期とは差があったがこれで追いついた。来年は超えられる存在になりたい」と世代入りを強烈アピール。東海ブルーがゴールドの輝きを帯び始めてきた。

 ◆小松 陽平(こまつ・ようへい)1997年(平9)11月2日生まれ、北海道札幌市出身の21歳。東海大四(現東海大札幌)時代はインターハイ1500メートル、5000メートルに出場。趣味は舞台鑑賞。自己ベストは1万メートル28分35秒63、ハーフマラソン1時間3分7秒。1メートル72、54キロ。

 ▽8区の区間記録 97年の第73回大会で山梨学院大の古田哲弘がマークした1時間4分5秒の記録は、21年間破られていなかった。これは箱根駅伝で最も長く残った区間記録。当時追い風だったことも好記録の要因の一つだといわれる。近年では17年の第93回大会で、下田裕太(青学大)が区間記録まで16秒差まで詰め寄ったが及ばなかった。

 ▽総合・往路・復路の優勝が異なる過去のケース 第2回大会で往路は早大、復路は東京高等師範学校が1位だったが、総合優勝は明大だった。直近では第82回大会で往路は順大、復路は法大が制したが、総合優勝は亜大だった。

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