青学大 猛追2位、6区小野田ら区間賞3発で復路制す

[ 2019年1月4日 05:30 ]

第95回箱根駅伝復路 ( 2019年1月3日 )

<箱根駅伝復路小田原中継所>青学大6区の小野田(左)からたすきを受け取った7区・林(撮影・島崎 忠彦)
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 往路6位の青学大が復路新記録となる5時間23分49秒で制し、総合10時間55分50秒で2位にまで巻き返した。6区の小野田勇次(4年)は自身の区間記録を更新し、2年連続の区間賞を獲得。メンバー全員が全区間で2位以内に入り、3区間で区間賞を獲る快走を見せた。原晋監督(51)が掲げた「ゴーゴー大作戦」での歴代2位タイの5連覇はならなかったが、王者の意地は見せた。

 王者の逆襲は、山下りから始まった。往路6位。5分30秒差からスタートした青学大の小野田が、区間新の力走を見せた。「総合優勝を狙っていたけど、復路優勝は最低限の目標だったので良かった」。東海大の背中を捉えることはなかったが、2位にまで盛り返した不屈の象徴が小野田だった。

 4年連続6区を任されたスペシャリストは、さすがに落ち着いていた。慣れ親しんだ下り坂をイメージし、前半は抑え気味。徐々にペースを上げ、ラスト3キロでスパートを掛け、19キロすぎで法大を捉えた。トップとの差は15秒しか縮まらなかったが、5位に浮上。原監督から「出したら“山下りの神”になれる」と言われた史上初の57分台を叩き出した。

 たすきはもう1人の4年生の7区・林奎介へ。自身の持つ区間記録にあと2秒と肉薄する2年連続の区間賞。復路は全区間2位以内で、9区の吉田圭太(2年)を合わせた3区間で区間賞を獲得する圧巻の復路Vだった。「失敗を取り戻すのが先輩」。そう振り返った4年生の小野田の思いが、チームに連鎖した。

 ショックを振り払うV字回復だ。往路6位で史上初の2度目の大学駅伝3冠、そして大会5連覇へ限りなく赤に近い黄色信号がともった。芦ノ湖には重苦しい雰囲気が充満した。「平成の伝説をつくろう」。復路の選手にそう激励した原監督の表情にも覇気がなかったという。そんな状況を打破したのが小野田、林の2人の4年生だった。消沈する原監督に2人は「僕らは逆転する気満々です」と語り、暗いムードを振り払った。意地の復路優勝は、そんな最上級生の落ち着きがあったからだった。

 先輩からたすきを受け取った8区の飯田貴之(1年)は「来年は主力になる」と言い、ブレーキとなった4区・岩見秀哉(2年)は「来年リベンジして恩返しする」と涙した。総合優勝は逃したが、4年生の激走は下級生の胸を打った。平成最後の箱根路。青学大のたすきに、準優勝の悔しさが染み込まれた。

 ◆小野田 勇次(おのだ・ゆうじ)1996年(平8)9月3日生まれ、愛知県豊橋市出身の22歳。豊橋市立高師台中から競技を始め、豊川高では3年時の全国高校駅伝で4区16位。青学大で頭角を現し、箱根駅伝では1年から4年連続で6区を任された。自己ベストは1万メートル28分57秒30、ハーフマラソン1時間3分42秒。経営学部4年。趣味はボウリング。1メートル71、52キロ。

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