【金哲彦の目】東海大の勝因は“後半のスタミナ強化” 持ち味のスピードに安定性をプラス

[ 2019年1月4日 08:42 ]

第95回箱根駅伝復路 ( 2019年1月3日 )

8区で雲がかかる富士山を背に力走する東洋大・鈴木(手前)と東海大・小松(撮影・尾崎 有希)
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 東海大の8区・小松は東洋大の鈴木をペースメーカーにして力を温存し、遊行寺坂の手前でスパートして一気に勝負をつけた。レース運びといい、区間新のタイムといい、初優勝の決め手となる素晴らしい走りだった。

 この小松をはじめ館沢(4区)、中島(6区)、関(補欠)ら今の3年生が入学した時から「青山の次は東海」というのが関係者の間では定説だった。いずれも高校長距離界の有望選手ばかりで、昨年も優勝候補の一角に挙げられていた。ただ、両角監督は佐久長聖高の監督時代から「世界に通用するスピード」にこだわりを持って取り組んできた指導者で、箱根だけに照準を合わせたような練習はほとんどしてこなかった。その結果、距離の短い出雲では勝てても長丁場の箱根では後半に失速するケースが多かった。

 そこで今季はスピード強化という本来の方針は貫きながら、最後の部分で少し修正を加えた。11月以降は記録会への出場をやめて合宿で走り込むようにしたことで、本来のスピードに安定性が加わり、後半になってもスタミナが切れないようになった。それが最大の勝因だろう。

 5連覇を逃した青学大は往路の4、5区のブレーキが痛かった。どんなに力のあるチームでも区間順位2桁の選手が複数出ては勝てない。4年生がごっそり抜ける来年はさらに苦しくなりそうで、今回の大会は青学時代から東海時代への大きな転換点になるかもしれない。(駅伝マラソン解説者)

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2019年1月4日のニュース