常翔学園 残り4分で痛恨の逆転許す“昭和最後の覇者”平成最後の優勝ならず

[ 2019年1月4日 10:25 ]

第98回全国高校ラグビー大会第5日・準々決勝   流通経大柏19-14常翔学園 ( 2019年1月3日    東大阪市・花園ラグビー場 )

<流通経大柏・常翔学園>後半26分、作田(右下)の逆転トライにぼう然の常翔学園フィフティーン(撮影・北條 貴史) 
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 常翔学園(大阪第3)は流通経大柏(千葉)に残り4分で逆転負け。茗渓学園(茨城)と両校優勝だった1988年度の「昭和最後の王者」は「平成最後の優勝」を逃した。

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 「超高速展開ラグビー」を掲げる今年の常翔学園は、“攻めてナンボ”の精神で勝ち上がってきた。前半18分までに2トライ。風上の後半も序盤は優勢だったが、1つのプレーを境に勢いを失った。

 途中出場のFB中村が、自陣からのカウンターで痛恨のミス。パスを、流通経大柏のWTB永山に渡してしまう。そのままトライを奪われ5―14。以後、足が止まる。攻撃型が守備に忙殺された。反則も重なる。後半22分にモールを起点にトライを奪われ、14―12。残り4分で逆転のモールトライを許した。

 「疲労が出たところで踏ん張れなかった。それが敗因だと思う」

 No・8石田は目を赤くしながら悔やんだ。

 「大工大高」の名前で最後に出た07年度の3回戦で、千葉の雄に敗れた。その試合後、野上友一監督(60)は辞任。判定に納得がいかず、抗議の意味を込めて職を辞した。

 11年に復帰し、チームを束ねる。指揮官が語らずとも、選手は歴史を知っていた。石田は「チームを思って辞めたと聞いている。因縁の相手なので、僕たちが勝ちたいという思いがあった」と、この一戦が持つ“もう1つの意味”を口にした。

 昭和天皇が崩御した1988年度に茗渓学園と両校優勝をし、「昭和最後の王者」になった。今回、「平成最後の王者」になる夢は消えたが、次々と人が湧き出る攻撃を見せた。野上監督は「伝統が復活したと思う」とうなずく。5度の全国Vを誇るアタッキングラグビーの遺伝子は、新元号でも不変だ。(倉世古 洋平)

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2019年1月4日のニュース