大阪桐蔭 悲願初Vへあと2つ!“快足プロップ”江良が爆走2トライ

[ 2019年1月4日 10:04 ]

第98回全国高校ラグビー大会第5日・準々決勝   大阪桐蔭38-17報徳学園 ( 2019年1月3日    東大阪市・花園ラグビー場 )

<大阪桐蔭・報徳学園>後半2分、大阪桐蔭・江良がタックルを振り切りトライ(撮影・大森 寛明)
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 昨年準VのAシード大阪桐蔭(大阪第1)が報徳学園(兵庫)に38―17で勝利し、4強を決めた。SO出身という異例のプロップ江良颯(2年)が俊敏な動きで後半に2トライ。高校日本代表候補が「動けるFW第一列」を体現した。5日の準決勝は、Bシードで唯一残った初4強の流通経大柏(千葉)と対戦する。

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 更衣室から出てきた大阪桐蔭のプロップ江良は三角巾で左腕をつっていた。必死の反撃を試みる報徳学園とのラストプレーで左肩を強打。次戦の出場が危ぶまれる何とも痛々しい姿だが、悲愴(ひそう)感はなし。その顔からは笑みがこぼれていた。

 「自分の得意のスピードが生かせました。気持ち良かったです」

 1メートル72、110キロの江良が巨体を躍らせてステップを踏んだのは後半2分。アッという間に15メートルを走り切り、中央へ花園での自身初トライ。これで気を良くした背番号1は9分後にもSH萩原からのパスを受けて左中間に飛び込んだ。

 中学時代はSOを担った。しかし、既に90キロ近くあった巨体を生かそうと兄・楓(立命大1年)を追って入学した大阪桐蔭では自らFW転向を直訴した。「体重を落とすより食う方が楽。器用なプロップを目指しました」と、1日5回の食事で連日白米を2・2キロほおばった。プロップ村木と並ぶチーム最重量に成長したが、50メートル6秒9の“快足”は中学時代のままだ。「あれだけ動ければ十分でしょう」と綾部正史監督。この日1トライを挙げた高校日本代表候補のフッカー中川とともに重くて速いフロントローが、スピードが身上の報徳のお株を奪う快走でチームに勝利をもたらした。

 「兄ちゃんの分も。全国大会で優勝しようと思ってます」。兄が主力として出場した昨年度は決勝で東海大仰星に惜敗。出場機会のなかった江良はベンチから悔し涙に暮れる兄を見ていた。以降、兄を超える日本一は至上命令となった。

 江良と同じ境涯に立つのは高校日本代表候補のCTB松山主将。昨年は兄・将輝(ひかる=近大1年)と決勝のピッチで悔し涙を流しており、「課題がまだまだ。伸びしろはあると思います」と上昇機運にあるチームに手応えを感じている。流通経大柏との準決勝が行われる5日は18歳の誕生日。「勝ってバースデーソングを」と口をそろえる仲間と疾走するチャンピオンロード。次もあくまで通過点だ。(石川 勝己)

――――“怪物”2年生フランカー奥井 圧巻の2トライ――――

 ○…“怪物2年生”奥井が超高校級の接点の強さとスピードで前半6分の先制トライを含む2トライを挙げた。「まだまだダメな部分はありますけど、縦への突進だけじゃなくスペースへ飛び込むスピードも見せられたのは良かったです」。3回戦のNo・8から本職のフランカーに戻って生き生き。スクラムに自らボールを入れてフリーでパスを受ける攻撃の新オプションもテスト。進化を続けている。

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2019年1月4日のニュース