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【コラム】城彰二

当落線上組が“空回り” アピール意識強くチームコンセプト表現できず

[ 2021年6月4日 11:00 ]

強化試合   Uー24日本代表0ー3日本 ( 2021年6月3日    札幌D )

 U―24日本代表はメンバー選考の機会が増え、ボーダーライン上の選手にチャンスが与えられたが、課題の方が目についた。オーバーエージの3人を含めて軸になる数人の選手以外はこの3試合で決まる。私もアトランタ五輪の時に経験があるが、当落線上の選手は「何とか生き残りたい」という思いが強く、チームコンセプトよりも個人のアピールに力が入ってしまう。チームとして必要なことが表現できなくなるのでこの試合のようになる。選手個々では橋岡のセンターバックや途中出場の相馬の右サイドなど、複数のポジションをこなすテストもあった。旗手も自分のチームではできても代表では中々特長が出せない。これは代表について回る難しさだ。

 開始直後の失点はCKの守備でニアに選手が集まって遠いサイドが空いてしまったために橋本をフリーにした。きっ抗した試合ではセットプレーが勝敗を分けるだけに、CKの守備は大きな課題だろう。2点目の失点は鎌田に対して2人マークがいたが、寄せ切れずにシュートコースを与えてしまった。

 A代表と比較して見えた違いは次の2つだ。(1)ハイプレッシャーの中でのプレーで、ボールコントロールなどが違い、U―24はミスが目立った。(2)チームコンセプトはA代表は浸透しているので状況によってのプレー選択の共有が攻守でできていたが、U―24はまだまだだった。もう一度「やるべきことは何か」を取り戻す必要がある。

 終盤で遠藤航が入って違いを見せたが、次のガーナ戦ではこの試合の反省も含めて全体的な部分を試すだろう。選手個々ではFW林が目立った。遠藤航が出場していて、いい縦パスが入ったこともあるが、いいアピールをしていた。格上の日本代表と試合ができたことも本大会ではプラスになると思う。(城彰二=元日本代表FW)

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