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高校サッカーもデータドリブンに 改革目指す“名将”を突き動かした危機感とは

[ 2019年2月1日 10:00 ]

選手たちに話をする流通経済大柏・本田監督
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 「これからは高校サッカーもデータの時代ですよ」。流通経大柏高校サッカー部の本田裕一郎監督が、全国高校サッカー選手権大会期間中に繰り返し口にしていた言葉だ。

 本田監督はユース年代の最新強化システムを学ぶため、14年から年に1度のペースでドイツに飛び、強豪クラブのユースチームを視察している。そこでドイツ1部ライプチヒのプレッシングサッカーに感銘を受け、戦術をチームに落とし込んだ。プレッシングサッカーが流通経大柏の代名詞になって18年夏からはあるエッセンスを加えた。それが、GPSシステムだ。

 18年7月の全国高校総体後に渡欧し、ライプチヒやオーストラリア1部ザルツブルクのユースチームを視察。GPSといえばサッカー日本代表も練習から取り入れるなど、最近は強化のマストアイテムとなっているが、サッカー先進国の欧州ではユース年代から最新機器が取り入れられていることに感動したという。早速、帰国後に約3万円のGPSを15台購入。導入後は30〜40試合でデータを測定して強化ポイントを探り、練習に落とし込んできた。

 ハイテク機器の恩恵は他にもある。「感覚的なことも数字で裏付けされるので、子どもたちも納得しやすい」と指導に齟齬が生まれにくくなったのも、GPS導入の効果といえる。

 現在はさらに15台の追加購入を行い、計30台に。Aチームは全員が練習からGPSを装着できるようになった。さらに、試合の映像分析のソフトウェアも購入を検討しているという。名将をつき動かしているのはある種の危機感だ。「欧州に視察に行くと日本はまだまだ遅れているなと感じる。ドイツがもっとも力を入れているのは、A代表ではなくユース年代の育成ですから」。千葉の強豪が始めた改革。今後、高校サッカーのスタンダードになっていくかもしれない。(井上 侑香)

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2019年2月1日のニュース