実況レジェンド・元ABC植草貞夫さん万感!85年日本S担当…38年分の歓喜「阪神おめでとう」

[ 2023年11月6日 05:00 ]

79年、掛布雅之氏(右)にインタビューする植草貞夫アナウンサー

 野球中継歴が44年、スポーツ実況のレジェンドとして知られる元ABCアナウンサーの植草貞夫さん(91)が本紙の取材に応じ、38年ぶり日本一を成し遂げた阪神を「おめでとう。昔を思い出しました」と万感の思いで祝福した。前回優勝した1985年は、日本シリーズや伝説のバックスクリーン3連発の試合を実況中継。当時を思い出しながら“真の猛虎復活”を喜んだ。

 待ちに待った瞬間をテレビで見届けた植草さん。自らの人生と猛虎の軌跡を重ねながら「長い実況生活でも日本一(を決めた試合)だけはなかったなあ。岡田監督、タイガースの皆さん、おめでとう」と感無量の表情を浮かべた。

 今季は「143試合全て見ました」。現在は神戸市内に住んでおり、自室の大型テレビで見たシーズンの戦いぶりを「岡田監督の注目できる采配が随所に見られましたね」と総括。CS、日本シリーズも全て観戦し、第2戦で実況を担当した三男の植草朋樹アナ(57=テレビ東京)に「頑張ってましたね」と目を細めた。

 55年の入社直後からスポーツアナとして活躍し「日本シリーズでの阪神の思い出はたくさんあります」。62年の阪神―東映は第1、2、6、7戦と甲子園の4試合全てテレビ実況を担当。小山正明、村山実両投手の2本柱で「村山投手は7試合中6試合に登板し、2勝2敗でした」と思い起こした。

 64年は南海との“関西ダービー”。このシリーズは「東京五輪担当で日本シリーズは実況できなかった」が、南海監督の鶴岡一人氏と親好が深かったこともあり印象深かった様子。ジョー・スタンカ投手に3試合で零封負けした阪神について「村山さんが3敗。悲運のエースなんて呼ばれましたかね」と語った。

 前回、日本一になった85年は「第3戦でラジオ、第4戦でテレビの実況をした」。特にこの年は伝説の“バックスクリーン3連発”の試合も担当。「不調だったバースが最初に打って、掛布さんの一発はバックスクリーンのほんのちょっと左側。最後が岡田さん」と、今も強烈に印象に残っているゲームであることをうかがわせた。

 岡田監督とは浅からぬ縁も。前回リーグ優勝を決めた05年9月29日には「オヤジと植草さんの誕生日に優勝したで!」と直接報告があったという。監督の父・勇郎さん(86年死去)と誕生日が偶然同じだったからだ。

 「優勝するとは思ってなかった。若手が多いんで黄金時代がくるかも。伸びしろもたくさんあるでしょう」。猛虎の明るい未来を確信していた。

 ◇植草 貞夫(うえくさ・さだお)1932年(昭7)9月29日生まれ、東京都出身の91歳。早大から55年に朝日放送(ABC)に入社。98年まで44年間、高校野球実況を担当して名実況を数多く残す。85年に阪神がセ・リーグ優勝を決めたヤクルト戦などプロ野球実況も多数担当。2人の息子(長男はテレビ大阪の植草結樹氏)、2人の孫(沖縄テレビ放送とRKB毎日放送)もアナウンサー。

続きを表示

「美脚」特集記事

「STARTO ENTERTAINMENT」特集記事

2023年11月6日のニュース