TBS ジャニーズ事務所との関係を検証 「忖度」感じた社員ら証言…性加害報道で沈黙した理由とは

[ 2023年10月7日 19:51 ]

東京・赤坂のTBS
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 TBSは7日、「報道特集」(土曜後5・30)で「緊急特集 ジャニーズ事務所とテレビ局」を放送。ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川元社長による性加害問題を、今年4月まで報じてこなかったことについて検証した。

 性加害問題をめぐっては、被害が拡大した背景に“メディアの沈黙”があったことが指摘されている。また、同事務所は今月2日に2度目の会見を行い、社名変更などを発表した。

 番組では、事務所と広告業界、さらにTBSとの関係について取材。同局社員への聞き取りを基に検証した。ニュースや報道番組を担当する報道局、ドラマやバラエティ番組の制作担当、また全番組を管理して芸能事務所との窓口にもなる編成局編成部の社員や元社員ら合わせて80人以上に取材したと説明。

 ジャニー喜多川氏の性加害について、英BBCが報じるまで報じず、また、週刊文春による「セクハラに関する重要な部分は真実」とした2003年の高裁判決や判決が確定した2004年の最高裁決定を報じなかったのはなぜかという点を自問。

 当時の社会部記者やニュース番組の責任者ら報道するか否かの判断に直接関与する立場にあった10人全員からヒアリング。社内から「報じるな」という圧力や忖度があったことを証言した人はいなかったが、当時の社会部デスクの証言として「本来はその状況に異論を唱えるべきだった社会部も男性の性被害に対する意識が低く、また週刊誌の芸能ネタと位置付けてしまったことが反省点だと考えている」とし、判決をニュースとして取り上げることをしなかった。

 さらに、2012年10月、ジャニー氏が運転する乗用車が追突事故を起こした際、報道しなかった。当初は報道する予定が結局見送りとなり、編成部が報道局を訪れて幹部と話し合っていたとの証言も。「忖度そのものだと思った」「『ジャニーズ事務所は面倒くさい』という思いや事務所と日々向き合う編成部への配慮が、ニュースとして報じるかどうかを判断するさまざまな要素のうちの一つになったのは間違いない」とした。

 番組にレギュラーとして出演する同局の日下部正樹氏は「私も当時は報道局のデスクでしたから、己の不明を恥じるばかりなんですけれども、当時は男性の性被害への意識が低かったとあるんですが、それならばなぜその後20年も放置されてきたのか。報道局、私たち報道特集も伝えるべきことを伝えてこなかった。これは一種の職務怠慢です」とし、「その結果人権被害が広がった。このことを忘れてはならないと思います」と述べた。

 同じく出演者の同局・村瀬健介記者は「報道局員は仕事でジャニーズ事務所と関わることはほとんどない。それでも社内で見聞きした経験から、ジャニーズは面倒だという感覚を持っている局員が私も含めて大勢いる。普段からニュースにする、しないはその出来事の重要性を勘案して行っていますが、その判断をする要素の一つにジャニーズ事務所と向き合っている編成部への配慮などが入ることは問題で、さらに検証しなくてはならない」とした。

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