西野七瀬 エース新聞記者役のミスマッチの妙 「無理している感じにならないように」

[ 2023年4月26日 08:30 ]

柔らかな表情を見せる西野七瀬
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 【牧 元一の孤人焦点】キャスティングにミスマッチの妙がある。俳優の西野七瀬(28)が22日にスタートした日本テレビのドラマ「Dr.チョコレート」(土曜後10・00)で、新聞社のエース記者の役を演じている。

 インタビューに応じた西野は「お話をいただいた時、どうしてこの役が私なのか不思議でした。たぶん、みなさんも、私にそういうイメージを持っていないでしょう。でも、似たようなイメージの役ばかり演じていても自分の幅が広がらないので、今回チャンスをいただいてうれしかったです」とほほえむ。

 ドラマは義手の闇医者・Teacher(坂口健太郎)と天才的な外科手術の腕を持つ10歳の少女・Dr.チョコレート(白山乃愛)の物語。西野が演じる新聞記者・奥泉渚は、スクープ記事を書くために「Dr.チョコレートの正体」を探る中、飛行機で偶然、Teacherと出会い、取材対象として接近していく。

 「新聞記者役と聞いて勝手にジャケットを着るのかと思っていましたが、自由な服装でした(笑)。服の色は黒が基調になっていて割と透けているものが多く、カジュアルな感じが強いです。私的には、奥泉のかわいい衣装が、このドラマで見てほしいポイントの一つになっています」

 奥泉は仕事熱心で、取材対象との距離を一気に縮めていくタイプ。西野自身の個性とはかけ離れたような強引さ、あざとさ、言葉の巧みさ、計算高さなどがある。

 「奥泉は自分の目的に向かって真っすぐに進んでいくタイプなのかなと思います。いつも仕事のことを考えて行動し、息抜きでのんびりしているような描写は一切ありません。私自身はそこまで仕事だけという感じではなくて、リラックスする時間もほしいと思っているので、そこは対照的だと思います。演じるに当たっては、無理している感じになると不自然に見えてしまうので、余裕がある感じが出るように意識しています。早口で話さない方が、余裕がある感じを出せるかなと思って、あまり間を恐れずに話すようにしています」

 最近は映画「シン・仮面ライダー」でも従来のイメージから飛躍したハチオーグ役を演じ、役者として表現の幅を広げたことがうかがえる。今回のドラマの制作陣が新聞記者役に西野を選んだ背景には、その芝居への信頼感、ミスマッチの妙への期待感があったとみられる。

 「自分では、うまくできているかどうかは分かりません。見ていただいた方々からの言葉でようやく、良かったと思うことが多いです。今回の新聞記者役がなぜ私だったのかということは聞いていませんが、どういう理由であれ、演じさせていただくのはうれしいことなので、応えていきたいと思います」

 乃木坂46時代に初めて演技をしてから約10年。グループを卒業して本格的に俳優業を歩み始めてからも約5年が経過した。経験を重ねる中で、ある程度の余裕も生まれ、芝居に好影響を与えているようだ。

 「私は元々、人見知りでした。グループにいた時は毎日、同じメンバーと顔を合わせてお互いに分かっていたので、気を使わないですみました。1人になってから、現場ごとに新しい人たちと出会うことの繰り返しで、それで、初めて会った人とも話せるようになって、いろいろな方と話すのが楽しいと感じるようにもなりました。人と話さない現場でも、私は勝手に楽しみを見つけられるタイプなので、現場ごとの空気感に合わせています。現場で1人でいる時は、ゲームしたいな…とか、友だちと遊びたいな…とか考えてます(笑)」

 仕事一筋の奥泉とは異なり、私生活も充実している様子。約3年前から興じている「謎解き・脱出ゲーム」をはじめ、余暇の楽しみも少なくないようだ。

 「今は仕事とそれ以外のバランスがよくとれていて、その結果、心が健康なので、このスタイルを続けたいと思っています」

 役者としての成長はさらに続きそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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