ゴタゴタ続きの米アカデミー賞、一番面白い“作品”は賞を巡る騒動ドラマ!?

[ 2019年2月22日 12:38 ]

第89回アカデミー賞授賞式では、一度は誤って「ラ・ラ・ランド」が作品賞と発表されるトラブルが…(AP)
Photo By AP

 映画界の一大イベント、第91回米アカデミー賞の授賞式が日本時間25日に行われる。外国語映画賞に「万引き家族」、長編アニメ映画賞に「未来のミライ」がノミネートされ日本人にとっても結果が楽しみだ。

 さらに日本でも興行収入100億円超えの特大ヒットになっている「ボヘミアン・ラプソディ」が作品賞、主演男優賞と主要2部門を含む5部門でノミネート。洋画配給関係者は「オスカー受賞となればメディアで大きく取り上げられ、興収がさらに伸びる。リピーターも増えるだろう」と期待している。前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞でも作品賞(ドラマ部門)を受賞しているだけに、可能性はある。こちらの結果にも注目だ。

 25日は日本人にも親しみやすい授賞式になりそうだが、今回のアカデミー賞は早くから何かと話題に事欠かなかった。

 まずは司会者。今回はなんと司会者なしで式が行われる。ここ何十年も、司会者はオープニングから辛辣(しんらつ)なジョークを交えたトークで全世界を楽しませてきた。司会者不在の授賞式はこれまで、アカデミー賞91回の歴史で第61回(1989年)1度しかない。

 昨年12月、映画「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」などに出演したコメディアン、ケビン・ハート(39)が一旦は司会者に決まった。しかし直後、ケビンが10年ほど前にコメディークラブなどで反同性愛のコメントをしていたことが掘り起こされた。ケビンは一度はツイッターで「人間は変わる。成長する」と当時の自分とは違うことをアピールした。前年からの「Me Too」運動の流れがいまだ消えない中、アカデミー賞の主催団体は、ケビンに謝罪を要求。ケビンは「受賞者が祝福されるべき夜の邪魔になりたくない」と辞退してしまった。主催者は慌てて代役を探し、何人かに打診はしたものの、こんなゴタゴタの後を引き継ごうという猛者はいなかった。

 一度は「人気映画賞」を新設するとしながら、撤回する騒動もあった。昨夏、観客動員の多かった映画に賞を贈る「人気映画賞」の新設を発表。前年のテレビ視聴率が歴代最低を記録したことからの措置で、全世界的に予想を大きく上回る大ヒットを飛ばした「ブラックパンサー」を第1回受賞作に想定していたとも言われた。

 それが同賞の新設を急きょ撤回。映画業界から「この賞にノミネートされなければ人気がない映画ということか」の批判が噴出したからだ。ちなみに「ブラックパンサー」はアメコミ映画として初めて作品賞候補に名前を連ねた。ただ業界内には、質の高さは誰もが認めるところだった“バットマントリロジー”の「ダークナイト」が作品賞候補入りしていない(第81回)ことから「ブラックパンサーが作品賞にノミネートされたのは、一連のゴタゴタへのお詫びの意味もあるのでは?」との声も聞かれる。

 今月に入っても“ダメ押し”とも言えるような騒動があった。テレビ放送時間短縮のため、撮影賞、編集賞、短編映画賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門をCM中に発表するとしたが、有力監督や人気俳優が撤回を求める公開書簡を公表。結局この案も取り止めとなった。

 「事実は小説より奇なり。今年のアカデミー賞を巡る一連の騒動を映画化したら相当面白いと思いますよ」。こう話す洋画関係者までいる。どんなドラマが待っているのか?当日もトラブル続出か?授賞式が待ち遠しい。(記者コラム)

続きを表示

2019年2月22日のニュース