来年大河「いだてん」横尾忠則氏が異色ポスター制作!マラソンの“時間”凝縮、勘九郎が走り出す?

[ 2018年12月13日 12:00 ]

横尾忠則氏が手掛けた来年の大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」のポスター(C)NHK
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 日本を代表する美術家の横尾忠則氏(82)が来年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(1月6日スタート、日曜後8・00)のポスターを制作。このほど、完成した。数々のドラマのポスターを手掛けてきたが、大河ドラマは初。主人公のマラソン選手を演じる歌舞伎俳優・中村勘九郎(37)の写真を、1枚のポスターの中に複数枚使用した異色作。マラソン完走にかかる2時間強の“時間”を表現した。横尾氏は「僕もマラソンが大好きなので『いだてん』のポスターは僕のテーマだと思いました。他の人に依頼されなくて良かったです」。横尾氏は今作の題字も担当している。

 ポスターの中の勘九郎が今にもクルクルと回転して走り始め、飛び出してきそうだ。

 「いだてん」は大河ドラマ58作目。2013年前期のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした宮藤官九郎氏(48)がオリジナル作品で大河ドラマの脚本を初担当。2020年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪までの日本の激動の半世紀を描く。

 勘九郎と俳優の阿部サダヲ(48)がダブル主演。勘九郎は「日本のマラソンの父」と称され、ストックホルム大会に日本人として五輪に初参加した金栗四三(かなくり・しそう)、阿部は水泳の前畑秀子らを見いだした名伯楽で64年の東京大会招致の立役者となった新聞記者・田畑政治(まさじ)を演じる。

 ポスター撮影は今年8月、東京都内のスタジオ行われた。

 勘九郎は半袖半ズボン姿。巨大な“ルームランナー”に乗り、前傾したり、後方に体重をかけて足を高く上げたり、さまざまな姿勢で約1分、走る。その間、カメラマンがシャッターを切り続けた。真横からや真正面からなど撮る方向を変えながら、この一連の流れを計9回実施。約1時間かけて撮影した写真は約800枚。その後、約800枚の中から横尾氏が写真を複数枚選び、ポスターをデザインした。

 横尾氏は1回目から「おもしろい」と勘九郎のダイナミックな動きを絶賛。その後もフォームが崩れた走りなど、さまざまなバージョンを撮影。5回目には「(1912年当時はなかった)時代とのギャップがおもしろい」と勘九郎がペットボトルを手に走るアイデアをひらめき「もう、ポスターできました」とスタジオ内の笑いを誘った。

 勘九郎の父・十八代目中村勘三郎さん(2012年没)のライフワーク「平成中村座」ロングラン公演(11年11月〜12年5月)のポスターを制作した間柄で、今回のポスター撮影終了後、取材に応じた横尾氏は「歌舞伎は好きで、勘九郎さんが小さい頃から見ていて、(勘九郎の)おじいさんの(十七代目)勘三郎さんも見ていますから。この前、勘九郎さんが(ドラマのために)髪の毛を短くされる時に初めて会ったんですが、そういう感じが全然しないんですよね。しょっちゅう会っているような感じ。そういうことはものを作る上で大事なんですよね。本物のマラソンランナーに、あんなアクロバティックな動きはできないと思います。勘九郎さんの役者としての運動神経が加わっているから、おもしろい。どのポーズも良いです」と明かした。

 ポスターのコンセプトについては、勘九郎が走る写真1枚だけだと「おもしろくないので、今回は“時間”を導入したいと考えました。勘九郎さんにありとあらゆるポーズをしていただいたのは時間表現。多重的に動いている感じ。(20世紀初頭にイタリアを中心に起こった前衛芸術運動)『未来派(フューチャリズム)』という時間を表現した様式があるんですが、今回はこれを引用しようと思っています」と解説。1枚のポスターの中にマラソン完走にかかる2時間強の“時間”を凝縮した。

 ペットボトルについては「瞬間的に浮かんだんですが、我ながら良いアイデアだと思いました。現代性とつながる上に『これは笑えるぞ』と。手足が車輪のように回転する中、ペットボトルが1個だけある。気付いた人はクスッと笑えると思うんですよ」と手応え。「前面には出しませんが、美術にとってユーモアは非常に重要。おじいさんの(十七代目)勘三郎さんから中村屋自体がコミカル。勘九郎さんも中村屋の伝統を受け継いでいるので、NHKさんは良い人を主役に選ばれましたね」と太鼓判を押した。

 出身校は兵庫県立西脇高校。同校から63年に工業課程を分離した兵庫県立西脇工業は全国高校駅伝優勝8回の強豪という“縁”もある。「僕もマラソンが大好きなので『いだてん』のポスターは僕のテーマだと思いました。他の人に依頼されなくて良かったです」と茶目っ気たっぷり。「マラソンは、まさに人生そのもの。スタートからゴールは1つの魂が生まれてから死ぬまで、2時間何分かの中に人生が全部描かれていると思うんです。僕がマラソンを見る時は、人生も絡めているわけです。だから、おもしろいんですよ」と持論を展開した。

 横尾氏の起用理由について、NHKは「1960年代に感じるとてつもない時代のうねりや高揚感を“今”の感覚で表現できるのは横尾忠則さんしかいませんでした。64年の東京オリンピックのデザインチームの一員であり、現在に至るまで世界を刺激し続けてきた横尾さんのエネルギーが『いだてん』には必要だったのです」と説明。ポスターは今月下旬から全国のNHKなどで掲出される。

 ◆横尾 忠則(よこお・ただのり)1936年(昭11)6月27日、兵庫県西脇市生まれ。72年、ニューヨーク近代美術館で個展を開催。以降、幅広いジャンルで唯一無二の作品を発表し続け、国内外80の美術館に作品が収蔵されるなど国際的な評価を得ている。97年から「週刊新潮」の表紙絵を担当。2012年、神戸市に横尾忠則現代美術館、13年、香川県小豆島に豊島横尾館が開館した。

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