阿木燿子 夫・宇崎竜童は公私とも“かけがえのないパートナー”

[ 2017年5月28日 11:45 ]

大人の魅力 阿木燿子(上)

インタビューに答える阿木燿子
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 いつまでも輝く女性とは、まさにこの人のことだろう。作詞家、小説家、エッセイストとしても活躍する阿木燿子(72)だ。夫でミュージシャンの宇崎竜童(71)は、公私にわたる最愛のパートナー。2人で世に出したヒット曲は数知れず。そんな彼女が今、最も力を注いでいることとは?!

 「ステージ上で彼がよりチャーミングに見えるには、どうしたらいいか、現在の彼の年齢やミュージシャンとしてのポジションにふさわしい舞台にするには何をすればいいのか、このところ気がつけば、そのことばかり考えていますね」

 彼とは、もちろん、夫の宇崎竜童のこと。ステージとは、その宇崎が7月15日に行うソロライブ「ロックンロールハート2017」(東京国際フォーラム・ホールC)である。阿木はこのコンサートのプロデューサーとして、選曲をはじめ衣装やステージングまで手掛けている。

 「主人に任せておくと歌いやすい曲ばかりになってしまうでしょ。本人が気づかない魅力を引き出すことが私の役目。彼がよりセクシーに見える楽曲を選んで、見せ方、聴かせ方に工夫を凝らしています。お客さまに最大限楽しんでいただけるように、私も客席に座っているつもりでイメージを膨らませています」

 今回披露されるのはダウン・タウン・ブギウギ・バンド時代の「身も心も」「沖縄ベイ・ブルース」などの他、これまでレコーディングされたがライブで歌われる機会が少なかった作品もレパートリーに並ぶ。根底には「大人のコンサートにしたい」という彼女の思いが貫かれている。

 トップアーティスト同士の2人。そのなれそめはよく知られている。明治大学の軽音楽部で出会い、意気投合してゴールイン。宇崎が曲を作り、阿木が詞をつける。これまで山口百恵ら多くの人気歌手に楽曲を提供してきた。誰しも認める仲の良さだが、いざ仕事になるとお互い妥協は許さない。それが公私とも良好な関係を続ける秘訣(ひけつ)なのだろう。

 昨年2月に開催された「宇崎竜童70thバースデーライブ」も阿木のプロデュース。そこで彼女から出された厳しいリクエストが、全26曲の歌詞を全て覚えること。ところが、これが宇崎にとっては予想以上に困難な作業だったとか。

 「思うように暗譜できなくて、七転八倒してましたね。見ていてかわいそうになるぐらい。しかし、役者さんは2時間超えの芝居だって、完璧にセリフを覚えて本番に臨むわけですから。でも、あの時はついに認知症を発症したかと心配になり、健康診断も兼ねて病院で、脳のMRI検査をしてもらいました。結果は異常なしでしたけど」

 逆にプライベートでは、のんびりと人生の幸せをかみしめているようだ。2人だけの時間をなるべく多く共有、自宅ではたわいもなくしりとりをすることなどもあるという。近頃はジャンケンで遊ぶことがあるといい、「ジャンケン、グーとか口で言いながら、手がパーになってたりします。主人の方も同じようなものなので、笑っちゃいますね。これ、ボケ防止です。もし隠しカメラで2人の日常を撮られていたら、まるで漫才だなって」と笑みがこぼれる。

 出会った頃から映画やコンサートに一緒に行くと、終わった後の感想は言葉にしなくても通じ合うものがあったという。最近は芥川賞を受賞したお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹の小説「火花」のドラマに感銘を受けた。「2人でこれは“本当に面白いね”と毎回見てました。きっと感性が似ているんでしょうね。食べ物の好き嫌いも、だいたい合いますね」。いつも互いに良いところを引き出し、同じ高みを目指してきた、かけがえのないパートナー。これからも夫婦でどんな作品を世に出すのか大いに楽しみだ。

 ◆阿木 燿子(あき・ようこ)1945年(昭20)5月1日、横浜市出身の72歳。75年、宇崎竜童率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドに書いた「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」が大ヒット。宇崎とのコンビで「横須賀ストーリー」「イミテイション・ゴールド」「さよならの向う側」など山口百恵のヒット曲を連発。「四季・奈津子」など多数の映画、ドラマにも出演。

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