「もう小説家ですよ」編集者も興奮するピース又吉の新作小説

[ 2017年2月22日 09:30 ]

2作目を発表する又吉直樹
Photo By スポニチ

 お笑いコンビ「ピース」又吉直樹の新作小説「劇場」が文芸誌「新潮」4月号に掲載される。芥川賞受賞作「火花」では若手芸人の挫折を描いたが、今回はラブストーリーに挑戦しているという。2年以上かけて400字詰め300枚の長編を執筆した。

 作家・太宰治を敬愛する又吉は2年前のインタビューで「太宰の短編はみんな失敗する。失敗して恥をかく。うまく物事が運んでない時の面白さが好きなんですよ」と語っていた。新作の内容についてはベールに包まれているが、どこか太宰に通じるような滑稽で哀愁が漂う“味つけ”はあるように思う。

 「新作を読んだ編集者が“又吉さんはもう小説家ですよ”と興奮してました」(お笑い関係者)。そんな評判も聞いた。世間の2作目に対するハードルは上がるだろうが、どんな又吉ワールドが繰り広げられるのか。今からページをめくるのが楽しみだ。

 「火花」が映画化されることも決まった。菅田将暉と桐谷健太のダブル主演で11月に公開される。漫才パートの撮影に向けて近日中に稽古に入るプランも進んでいるという。メガホンは板尾創路が取る。これまで、脱獄を繰り返す男を描いた「板尾創路の脱獄王」(10年)と、落語「粗忽長屋」をベースにした「月光ノ仮面」(12年)を監督している。謎の復員兵が落語家を演じる「月光―」はシュールなオチが衝撃的だった。コメディーなのかホラーなのかジャンル分けしにくく、妙な世界観に包まれた作品で、それが味になっていた。

 動画配信の「ネットフリックス」が手がけた10時間にわたるドラマ版は見応えがあった。映画版の脚本は「ナイン・ソウルズ」「空中庭園」などで役者・板尾とコンビを組んだ豊田利晃氏。あの原作をどう長編映画として料理するのか。なかなかな難題だが、この2人のタッグなら見てみたい。 (記者コラム)

続きを表示

2017年2月22日のニュース