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ボブ・ディランだけじゃない!「歌詞がスゴイ」洋楽アーティスト

[ 2016年10月16日 09:30 ]

ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン。12年1月のロサンゼルス公演(AP)
Photo By AP

 ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞は世界を驚かせた。作家や文学界からは批判の声も上がっているようだが、取材した音楽関係者の間では「当然の評価」との見方が大勢を占めた。

 「文学賞」であるから評価されたのは歌詞。英語が母国語でない日本人にとって、洋楽を聴くとき最もピンとこない部分だ。あるレコード会社関係者はこう言った。「この文学賞がきっかけでディランはもちろん、素晴らしい詞を残している洋楽アーティストが再評価されてほしいですね」。

 多くの音楽関係者と話をした中で、詞のよさについて一番多く名前が挙がったのが「ドアーズ」だった。27歳で早世したジム・モリソンがつづった詞は、絵画を見るような抽象的で耽美(たんび)な表現が特徴。「その中に、常識と本能のはざまでもがく人間の悲哀や現実に見ている世界だけがすべてではないという思想が込められている」と絶賛の声が相次いだ。

 個人的に好きな詞は、「太陽を待ちながら」(68年)の収録曲「夏は去りゆく」。♪夏は終わりかけ そうもう終わり 僕らはどこへ行けばいい 夏が終わってしまったら――。60年代アメリカでヒッピー文化の象徴となった社会現象「サマー・オブ・ラブ」の代表格だったドアーズがブームの終わりを自虐したという見方もあるが、「夏」を、後先考えない刹那の快楽と置き換えてみても味わい深い。

 また「ディランの歌詞は芸術性だけでなく、従来の常識を覆す社会的影響力があった」と評する人が、肩を並べる存在として推したのは「セックス・ピストルズ」だ。

 70年代後半にロンドンをかき回した、パンクムーブメントの中心になった伝説的存在。当時どん底の不況にあえいだ英国で、エリザベス女王を公然と批判した「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」は♪神よ、あの歴代1位のバカを救ってくれ 俺たちに未来なんてねぇ――と歌った。影響は音楽業界のみならず、体制に不満を持つ労働者階級や左翼が運動を起こすきっかけにもなった。時代背景を知った上で聴くと、よりすごみが分かるバンドだ。

 ほかにもパティ・スミス、ニール・ヤング、トム・ウェイツ、「ザ・スミス」ら、詞に力を持つアーティストの名が次々と挙がった。今の時代、歌詞カードとにらめっこして、ステレオに正対して音楽を聴くという人も少なくなってきている。ノリのいいEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)もいいが、文化としての音楽の深みを再認識するためにも、ディランをきっかけに歌詞の魅力を見直してみるのも一興ではなかろうか。(記者コラム)

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