藤原竜也、恩師・蜷川さん葬儀で号泣弔辞 思い「受け継いで…」

[ 2016年5月17日 05:30 ]

斎場に向かう(左から)妻・真山知子さん、長女・実花さんを(後方右から)長谷川博己、横田栄司、藤原竜也、松坂桃李、綾野剛、小栗旬が見送る

 多臓器不全のため12日に死去した演出家の蜷川幸雄(にながわ・ゆきお)さん(享年80)の葬儀・告別式が16日、東京・青山葬儀所で営まれ、約1300人が参列した。蜷川さんに見いだされてデビューした藤原竜也(34)は「悔しいでしょう、僕もですよ」とむせび泣きながら弔辞を読み上げた。式終了後には「(蜷川さんは)僕のすべて」と、目を真っ赤に腫らして悼んだ。

 午後2時45分ごろ、蜷川さんの棺は小栗旬(33)、松坂桃李(27)、綾野剛(34)ら20人以上に支えられ、運び出された。「鬼」と呼ばれながらも、あふれる才気と深い人情で多くの俳優の尊敬を集めた、蜷川さんらしい旅立ちだった。

 棺を運んだうちの一人は藤原。15歳のとき、舞台「身毒丸」オーディションで、蜷川さんが応募5000人超から見初めた、愛弟子中の愛弟子。会場に拍手が起こる中、目に涙をため、棺を乗せた車を見送った。

 その後、涙をこらえて取材に応じ「あの人がいなければ、僕という俳優はいなかった」と言葉を詰まらせた。「身毒丸」からの19年間を「罵声を浴びせられたことしかない。怒られてばかりでした」と振り返った。「ケンカもしますし、憎しみ合ったりもした」と明かしつつ「凄い人でした。本当に。太刀打ちできない人でした」と存在の大きさを強調した。

 亡くなる前日の11日に見舞った際は、蜷川さんは話せる状態になかったため、最後の対話は昨年5月。舞台「ハムレット」のロンドン公演終了直後となった。「蜷川さんはロンドンに来ることができず、帰国後、報告しに行った。すると“自分のいない中、よくやってくれた。ありがとう”と言葉をいただいた」と目を潤ませた。

 朗読者5人のトリを務めた弔辞では「ハムレット」の稽古時を振り返り、「恐ろしいダメ出しの数でした。心が折れました」。続けて「“俺のダメ出しでおまえに伝えたいことはほぼ言った。今はすべて分かろうとしなくても、いずれ理解できる時がくるから”と…」と蜷川さんの言葉を明かし「もっと仕事がしたかった」と恩人との別れを惜しんだ。 

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