「孝成とともに」明豊、天国の仲間にささげる県勢初の夏3連覇 今度は日本一になって吉報届ける

[ 2023年7月27日 04:30 ]

第105回全国高校野球選手権大分大会決勝   明豊3―0大分商 ( 2023年7月26日    別大興産スタジアム )

<明豊・大分商>スタンドの歓声に応える明豊ナイン。選手の手には吉川さんの遺影が
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 大分大会は決勝が行われ、明豊が大分商に3―0で勝利し、3年連続9度目の甲子園出場を決めた。夏3連覇は県勢史上初となった。先発した最速147キロ右腕で背番号1の中山敬斗(ひろと)投手(3年)が2安打完封。昨年秋に不慮の事故で亡くなった当時2年生だった捕手の吉川孝成(こうせい)さんにささげる優勝になった。

 9回2死。決め球のスライダーでこの日7個目の三振を取ると、明豊の中山は、空を見上げ、No・1ポーズをつくった右手を突き上げた。119球を投げ切り2安打シャットアウト。エースとして今夏防御率0・00で県勢初の夏3連覇達成に導いた。

 「孝成と甲子園に行きたかったので、ありがとうしかないです」

 昨年秋、当時2年生部員だった吉川さんが不慮の事故で亡くなった。奈良県から明豊の門をたたいた中山が、入学して始めてボールを受けてもらったのが捕手の吉川さんだった。「おまえ、すごいボール投げるな」と言われた言葉は、大分でもやっていける自信をくれた。今大会は帽子のつばに「孝成と共に」と記して臨んだ。

 序盤から最速145キロを記録した直球と切れ味鋭いスライダーで好投。三塁すら踏ませず最後まで危なげなかった。前日25日に川崎絢平監督から「最後まで一人で投げ抜け」と声をかけられ「自分もやってやろうと思いました。全部が調子が良かった」と満点の投球で応えた。

 昨夏の甲子園は2回戦の一関学院戦で先発したが、1回2/33失点と精彩を欠いた。夏に向けウエートやランメニューなど黙々と汗を流してきた。母の穂寿美さん(45)や川崎監督も認める負けず嫌いの性格も向上心につながった。最後まで背番号1を競った森山塁(3年)を強烈に意識し、指揮官に「森山に勝ちたいです」「森山より僕の方がいいです」「森山使うなら僕を使ってください」と伝え自らを奮い立たせた。そんな言動は森山や他の投手にも刺激を与え、切磋琢磨(せっさたくま)した。

 3年連続の甲子園。夏は3度のベスト8が最高だ。「去年の借りを返して孝成とともに日本一になりたい」とエースが言えば、川崎監督も「見えない力とともに暴れてきたい」と必ずや天国へ吉報を届ける。(杉浦 友樹)

 ▼ソフトバンク今宮 なかなか(3連覇は)なかったこと。すごいことだと思います。今の時代は、試合経過だったり、ライブもありますし、チェックできるので、よく見ておきます。

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