土浦日大 最終回一挙5点 大逆転で5年ぶり甲子園「もう一度主将をグラウンドに」の執念実る

[ 2023年7月27日 05:26 ]

第105回全国高校野球選手権茨城大会決勝   土浦日大5―3霞ケ浦 ( 2023年7月26日    水戸 )

<霞ケ浦・土浦日大>甲子園出場を決め、歓喜する土浦日大ナイン(撮影・藤山 由理)
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 5年ぶり5度目の甲子園。歓喜の輪ができるとすぐ、土浦日大ナインは「来い!来い!」と三塁ベンチに手招きした。大粒の涙を拭きながら、塚原歩生真(ふうま)主将(3年)がゆっくりと歩いてくる。輪に加わると、心ゆくまで一緒に喜びを分かち合った。

 「この仲間で野球ができて本当に良かった。みんななら絶対にやってくれると。ありがとう!」。0―3の9回、プロ注目右腕の霞ケ浦・木村優人(3年)を一気に攻略した。7安打で5点奪取。2死一、二塁で同点左前打の4番・香取蒼太外野手(3年)も、勝ち越しの右前打で続いた松田陽斗内野手(3年)も誰もが声をそろえた。「甲子園でもう一回、塚原をグラウンドに立たせることができてうれしい」。気持ちは一つ。まさにチームの合言葉だった。

 24日の常磐大との準決勝の5回、塚原は左側頭部に死球を受けた。「当たってから何も覚えていなくて…」。意識を失い救急車で搬送された。病院のベッドで夕方に意識を取り戻すとチーム勝利の報が届く。一晩入院した塚原は、48時間は運動禁止ながら担当医に直訴した。「決勝のグラウンドに行かせてください!」。背番号2の正捕手。小菅勲監督は「チームの精神的支柱」という。もちろん出場は不可だがベンチ入りの許可が出た。明るいキャラクターでもある塚原は試合中、ナインに「下を向くな。楽しもう」と声をかけるなど、鼓舞し続けた。

 1週間後の検査でOKが出れば試合に復帰できる。「命があることがありがたい。みんなにもらった気持ちを、甲子園で返したい」。聖地で、全員で校歌を歌う。それが塚原が頭に描く、恩返しだ。(鈴木 勝巳)

 ≪霞ケ浦・木村「プロ」名言≫プロ注目の最速150キロ右腕、霞ケ浦・木村優人投手(3年)の最後の夏が終わった。この日は最速143キロで8回まで7安打無失点。今大会初完封、そして4年ぶりの甲子園へあと3アウトとなった9回、7安打を集中され5点を失った。痛恨の逆転負けに「9回はどうしても気持ちが先走って、勝ち急いでしまって…。自分の力不足」。今後の進路は「プロ」を明言。「次のステージでも勝てるように。今日の反省を生かして信頼される投手になりたい」と誓った。

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