中日ドラ6・田中幹也 快足武器に国指定の難病と闘う人たちへ勇姿見せる

[ 2023年1月28日 06:00 ]

難病を乗り越えた中日ドラフト6位・田中。盗塁王を目指す(撮影・椎名 航)
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 【23年度球界新士録(12)】田中には、絶対に負けられない理由がある。「一日でも長く、一試合でも多く試合に出る。グラウンドに立って、いっぱい活躍して、この病気と闘う人たちの励みになれば」。

 東海大菅生で世代トップクラスの遊撃手として活躍し、亜大では50メートル5秒9の俊足を武器にリーグタイとなる1試合6盗塁など通算48盗塁も記録。暗転は亜大3年だった21年8月。練習中、蜂に刺されて病院を訪れると国指定の難病「潰瘍性大腸炎」と診断された。

 ストレスなどが原因で免疫力が低下し発熱や腹痛、虚脱感や倦怠(けんたい)感などの症状があり、オリックス・安達らも悩まされている。寛解と再燃を繰り返し、完治が難しいとされる。

 「大学3年の春頃から違和感はあったけど、ストレスかな、くらいの感じでした」。入院当初は投薬治療での回復を目指し、錠剤や点滴など複数の治療法を模索したが好転せず、薬の副作用で急性膵炎(すいえん)も発症し激痛に見舞われた。医師から大腸全摘術を提案され、決断した。

 「野球のことまで考えられなかったです。とにかく治したいという思いだけでした」

 7時間に及ぶ手術は成功し12月に退院。すぐ寮へ戻り競技復帰を目指した。この4カ月で体重は約10キロ減の55キロまで落ち込んだが、懸命なリハビリと健全な食生活を徹底。1メートル66の小柄な体で大病を克服し、野球を始めた小2から目指した夢舞台に、たどり着いた。

 春季キャンプでは1軍メンバーに選ばれ、正二塁手争いに挑む。「目標は盗塁王。何年もプロの世界でやれるように」。背番号2の勇姿を見せ続けることには、大きな意義がある。(湯澤 涼)=終わり=

 ◇田中 幹也(たなか・みきや)2000年(平12)11月28日生まれ、神奈川県出身の22歳。小2で野球を始め、中学時代は相模原リトルシニアに所属。東海大菅生2年夏に「1番・遊撃」で甲子園出場し4強。亜大では1年春からリーグ戦に出場し、同年には大学日本代表にも選出。1メートル66、68キロ。右投げ右打ち。

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