常葉大菊川・平出主将「質を上げる」 07年以来の全国制覇必ず

[ 2023年1月28日 05:00 ]

センバツ出場36校決定

10年ぶり5度目の選抜出場決定に歓喜の常葉大菊川ナイン
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 常葉大菊川(静岡)に10年ぶり5度目の吉報が届いた。第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社主催 3月18日開幕 甲子園)の出場校を決める選考委員会が27日、毎日新聞大阪本社で開かれ、昨秋東海大会準優勝の常葉大菊川が選出された。強肩強打を誇るプロ注目の鈴木叶捕手(2年)を攻守の要に、バランスの取れたチーム。野球部OBの石岡諒哉監督(33)が現役だった07年第79回大会で成し遂げた日本一へ、部員34人が束になる。

 雪まじりの猛烈な寒波を圧倒する会心の笑顔が満開になった。ピンストライプ軍団にひと足早い10年ぶりの“春”が到来。午後4時すぎ。ナインはインターネット放送で事実を確認した中沢俊一校長(59)から吉報を告げられ、そのまま歓喜の儀式に突入した。石岡監督が満面の笑みで3度。続けて同じく3度宙に舞った主将の平出奏翔三塁手(2年)がチームを代表し思いを表現した。

 「今までの人生で一番うれしい。ここからさらに一丸となって野球の質を上げ、出るからには全国制覇を目指して頑張ります」

 副将の鈴木叶が攻守で仕切り、昨秋県大会から台頭した左腕・久保綾哉(1年)ら投手陣を強肩で救い、巧みに操った。県、東海を通じて見せた粘り強さを含めた戦力は伸びしろ十分。それでも直後の第9回Sリーグ中に“燃え尽き症候群”ぶりが顔を出した。石岡監督は厳しかった。「チームの状態が変わらないのはお前が変わらないから。だから1年生もついて来ない」。叱咤(しった)された平出はその言葉に涙。立場を気付かされ、仲間を前に「俺が変わるから、みんなも変わってほしい」と訴え、ナインの方向性が定まった。

 甲子園の戦いは、コロナという見えない敵に夏を奪われた3年生の思いを背負って挑む舞台。石岡監督が新チーム始動日となった昨年8月3日のことを思い出した。グラウンド集合は午前5時。準備のため当然4時台から来て準備する1、2年生とともに、3年生も協力し、定刻には一緒に汗を流していた光景に驚いた。

 「(日本ハム4位入団の)安西たちがポール間を走っていた。まさか3年生が一緒にいるとは。うれしかったですし、僕自身が奮い立ちました」

 今でも練習参加をする先輩たちから強力サポートを受ける。指揮官は「このチームが勝てば、3年生の力を証明できる」と言い放った。後輩たちが憧れの聖地で躍動、進撃することが恩返しになる。(小澤 秀人)

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2023年1月28日のニュース