大阪桐蔭・前田「もう負けたくない」 昨夏準々決勝・下関国際戦の敗戦投手、リベンジVへ燃える春

[ 2023年1月28日 05:00 ]

センバツ出場36校決定

春のセンバツ出場が決まり、歓喜する前田主将(前列中央)ら大阪桐蔭ナイン撮影・成瀬 徹)
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 第95回選抜高校野球大会(3月18日から14日間、甲子園)の出場校を決める選考委員会が27日に大阪市の毎日新聞大阪本社で開かれ、明治神宮大会枠を含めた一般選考33校、21世紀枠3校の計36校が選出された。4年連続14度目の出場で昨春優勝の大阪桐蔭にとっては、選抜史上初となる2度目の連覇に挑む春となる。今秋ドラフト1位候補に挙がるエース左腕・前田悠伍(2年)も史上初となる2年連続の決勝戦勝利投手に向けて決意を新たにした。組み合わせ抽選会は3月10日、出場校の主将が参加して対面で行われる。

 大阪桐蔭には、前人未到の領域に足を踏み入れる覚悟がある。選抜史上初となる2度目の連覇に挑戦する今春。周囲の高まり続ける期待をよそに、エース兼主将の前田の心の内は、実に冷静だった。

 「去年優勝して連覇という重圧はあるけど、連覇を意識しすぎると目の前の試合がおろそかになる。試合が保証されているのは初戦だけ。目の前の一戦に集中しながら、最終的に優勝を達成したいです」

 前田にとっては個人記録に挑戦する春でもある。昨年の近江との決勝戦では7回1失点(自責0)の好投で勝利投手となった。2年連続で決勝戦の勝利投手となれば、史上初の快挙となる。ただし、前田にとっての甲子園は、春の歓喜よりも夏の悔しさが刻まれた場所だと言う。

 「あのような悔しい経験は二度としたくない。もう負けたくない」

 思い起こしたのは、昨夏の準々決勝・下関国際戦。2番手として登板するも、1点優勢の9回に2点を失って敗戦投手となった。「甲子園の借りは、甲子園でしか返せない」。夏の悔しさを猛練習の糧とし、直球の質の向上に取り組んできた。

 最速148キロの直球にカットボールなど変化球も自在に操り、世代No・1投手と評されている。相手から周到な対策をされた状態で対戦しなければいけないことは百も承知だ。

 「“対前田”という気持ちで臨んでくることは分かっている。対策してくる相手を抑えないと勝てない。そういった相手には、気持ちで勝っていくしかない。大阪桐蔭を倒すという強い気持ちでくる相手に、強い気持ちで臨んでいきたいです」

 同校が連覇した17、18年の選抜は、根尾(現中日)が史上初となる2年連続の優勝投手となった。ただし根尾は、2年生時の17年決勝では最終回の1イニングに登板したのみ。一方、前田は昨春から決勝の先発を託されており、その事実が突出した能力の高さを示している。「(昨夏の)悔しい気持ちを消すためには、甲子園で優勝するしかない」。この春で「前田世代」が史上最強であることを証明すべく、聖地に向かう。(河合 洋介)

  ◇前田 悠伍(まえだ・ゆうご)2005年(平17)8月4日生まれ、滋賀県長浜市出身の17歳。古保利小2年から高月野球スポーツ少年団で野球を始め、6年時にオリックスJr.選出。高月中では湖北ボーイズに所属。1年時にカル・リプケン12歳以下世界少年野球日本代表として世界一。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。2年時の春夏に甲子園出場で春優勝。同秋の明治神宮大会で2連覇。1メートル80、78キロ。左投げ左打ち。

 ◯…春の選抜連覇校は過去に1929、30年の第一神港商(兵庫=現神港橘)、81、82年のPL学園(大阪)、17、18年の大阪桐蔭の3校。昨春の選抜覇者・大阪桐蔭が今春も制すれば、史上初の2度目の選抜連覇。また通算5度目の優勝となれば、東邦と並んで歴代最多タイとなる。

 ◯…大阪桐蔭・前田は昨春選抜決勝・近江(滋賀)戦で勝利投手(7回1失点)。選抜で2年連続決勝戦の勝利投手になれば、史上初。

 ◯…昨秋の明治神宮大会を制した大阪桐蔭が今春選抜も制すれば、史上5度目の“秋春連覇”。2度目、2年連続はともに史上初。

 ◯…大阪桐蔭・西谷浩一監督は目下、甲子園大会で春夏通算64勝。今春選抜で優勝すれば5勝以上が加算されて69勝以上となり、高嶋仁監督(智弁学園、智弁和歌山)の通算68勝を抜いて歴代単独1位となる。

 《西谷監督、甲子園通算最多勝利へ》大阪桐蔭・西谷浩一監督は「(優勝が)簡単なことではないことは一番分かっている。連覇に挑戦できることに喜びを持ち、しっかり準備していきたい」と表情を引き締めた。

 優勝すれば東邦に並ぶ歴代最多の5度目の選抜制覇となる。そのことを報道陣から知らされると、「並ぶのですね。頑張ります」と新たな目標にも意欲を示した。

 さらに今大会に優勝すれば5勝以上を積み重ねることになり、同監督の甲子園通算勝利数が「69」を超える。現在の監督通算勝利数トップは高嶋仁監督(智弁学園、智弁和歌山)の68勝。歴代トップに立つ可能性のある今大会を前にし、「全員でしぶとく、粘り強く戦うのが大阪桐蔭の野球。日本一だけを目指して、毎日毎日、頑張っている」と、改めて春夏通算10度目となる頂点を見据えた。

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2023年1月28日のニュース