現役引退の阪神タイガースWomen・高塚「いい時も悪い時も、すべてがやってきて良かった」一問一答

[ 2022年11月13日 15:17 ]

<全日本大学女子硬式野球・選抜阪神タイガースWomen>先制犠飛を放ち、笑顔を見せる阪神タイガースWomen・高塚南海
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 阪神タイガースWomenは13日、甲子園球場で全日本大学硬式野球選抜との壮行試合を行い、4―5で敗れた。今季限りでの現役引退を発表している高塚南海外野手が「4番・左翼」で先発出場。3回1死二、三塁から先制の右犠飛を放ち、現役生活に別れを告げた。

 以下は高塚と報道陣の一問一答。

 ――試合を終えて今の気持ちは
 十数年続けてきた野球を…。節目節目で野球を続けるか迷った時期があったんですけど、続けてきたおかげで、こうやって阪神のユニホームを着たりとか、甲子園でプレーができて。最後、引退試合を甲子園でできるということは、最終的に選択してきたことが正しかったんだなと思いました。

 ――どんな気持ちで最後の試合に臨んだ
 (現役引退を)お伝えするのは遅くなったんですけど、最後に今まで応援してくださった方だったり、家族の応援もあったので、そういった人たちに恩返しになるプレーをしたいなと思って、打席一つ一つ、自分のスイングで思いっきり振っていこうかなと思って臨みました。

 ――現役最後のプレーを振り返って
 ヒットが欲しかった部分はありますけど、チームのために何ができるかってあの打席でも。持ち味が遠くに飛ばすこととかだったので、三塁ランナーが足の速い前田(桜茄)選手だった。先制点が欲しい場面だったので、少しでも遠くに飛ばして1点取れるように意識して打席に立ちました。

 ――先制犠飛では凸凹コンビの前田桜茄が生還
 なにかいいタイミングで巡ってきてるんだろうなって思って。やっぱりここで自分が一点取れるように、取りたいなと思って打席に立ちました。(前田とは)育成時代からキツイ練習だったりとか、プライベートも仲は良かった。言い合ったりすることとかもあったんですけど、一緒に成長してきて、またこうやって最後に野球できたことは、本当にうれしく思います。

 ――前田にはどのように引退を伝えた
 一番に相談していて。どうしようかなって言いながらも全部話を聞いてくれて、最終決断を出しました。

 ――現役引退の決め手は
 プレー自体ではもっとやりたいという部分もあったんですけど、なかなか試合に出るチャンスが少なかったりとか。そういう部分で悔しい思いをたくさんして…。最後の大会、引退を伝える前の愛媛の大会ですね。その時にここで無理だったら、(引退を)伝えようという気持ちで試合に挑んだ。それまで調子は悪くなかったんですけど、やっぱり試合に出る機会が少なかったので。他(のチーム)に行ってまで、野球を続けようとは思っていなかった。この素晴らしい環境で野球ができたことは光栄なので、ここで決断しました。

 ――前田へメッセージ
 基本一緒にいるので、まだ遊んだりとかもある。実感はないですけど、これから実感していくのかなと思います。毎週会ってたことがなくなったりとか。でも応援いくつもりなので。立場が違うようになるので、少しずつ野球がない生活を実感していくのかなという感じで、今はまだちょっと慣れない感じです。

 ――今後の女子野球はどう見守っていく
 まだ自分自身何も決めていない状態なんですけど、少しでもお声かかった野球教室だったりイベントごととかがあれば、率先して(参加する)。自分が今まで積み重ねてきたものだったり、伝えられるものは次の世代にも伝えたい。何かしらの形で機会があれば、伝えられたらなと思います。また数年後(野球が)したくなるかもしれない。自分がもし親になった時に子供に自分がやってきたことを、どんなスポーツであれ、伝えられるとは思う。そういうのに関しては、この経験は今までしてきて良かったのかなって思います。

 ――野球のない生活は
 どうなるんかなーって感じなんですけど。今まで野球ばっかりだったので、一回ちょっと休んで。最終的に地元の野球チームにたまに教えに行ったり。滋賀県の女子野球も、他の地域よりは普及してないので。そういうところでご協力できたらいいかなと思います。

 ――改めてここまでの野球人生を振り返って
 いい時も悪い時も、すべてがやってきて良かった。経験につながったかなと思います。本当にしんどい気持ちもあったし、嬉しい気持ちもあった。野球でつながってきた人脈だったり、一緒にそれぞれのチームで戦ってきた仲間が全国にいて、野球をしてなかったらそういう人との繋がりって無かったと思う。やっぱり応援してくれる人だったり、そういう方の存在があっての私の野球人生だったかなと思います。

 ――自身の経験を踏まえて後輩たちに伝えたいこと
 私も元々そんなにすごい選手でもなくて…。でも、野球が好きっていうところで、今まで続けてきて。女の子が野球をすることが当たり前じゃないところを、男子の中でやってた中で続けてるうちに女子野球ができて、プロができて、阪神ができて。どんどんどんどん広がってきてるのを実際に感じた世代だった。これからもっともっと盛り上がってくると思う。やっぱり節目節目で迷うことはあると思うんですけど、自分が好きなことは諦めずに続けて欲しいなと思います。


 ○…高塚とともに“凸凹コンビ”として女子野球ファンから愛される前田桜茄外野手は3回に高塚の犠飛で生還し、「自分がしっかり塁に出ることができて、南海の最後の打席がタッチアップで私が最後のランナーというのが、そういう運命やったんやなって。すごい感慨深いな、とベンチで話しをしてました」と振り返った。

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