京大医学部から史上初指名 ソフトB育成7位・水口「理学療法士の勉強生かしてスケールの大きな選手に」

[ 2022年10月21日 05:10 ]

プロ野球ドラフト会議 ( 2022年10月20日 )

 ソフトバンクから育成で指名を受け、ポーズをとる京大の水口創太投手=20日午後、京都市
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 「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が20日、都内のホテルで行われ、来季から4軍制を導入するソフトバンクは昨年に続いて史上最多タイの育成選手14人を指名。同7位には入団すれば京都大学医学部から初のプロ野球選手となる水口(みなくち)創太投手(23)の名も入った。理学療法士を目指す知性派右腕。交渉がまとまれば京大からは2014年にロッテ2位指名を受けた田中英祐以来、2人目となる。

 ドラフト会議が始まってから3時間以上が経過していた。時刻は午後8時をすぎた。最速152キロ右腕・水口はようやく呼ばれた自らの名前を聞き、隣の近田怜王監督に向かって小さくうなずいた。「評価していただいたのはうれしい。(発表まで)不安な感情が一番大きかった」とホッとした表情だった。

 医学部人間健康科学科に在籍。理学療法士の資格取得を目指しており、今年1月には京都市内の病院で実習も行った。野球の練習時間は当然のように削られる環境だが、昨秋には最速152キロを出すなど1メートル94の長身から150キロ台の直球にフォーク、スライダーを織り交ぜる本格派。ソフトバンクでプレーした経験を持つ近田監督は「伸びしろがたっぷりな投手だと思っている。そこがソフトバンクと合っていると考えていた」と話した。

 一時は迷った。15日の関西学生野球秋季リーグ1回戦・近大戦後に、育成指名もOKだった姿勢から「直前になってきて自分で考えて決めました」と支配下以外の指名ならプロ入りしない意向を表明していた。ただ、この日は「どうするか、しっかりと考えて結論を出したい」と結論は出さなかったが「大きく成長できれば、1軍に行けると思う。角度のある直球と落ちるボールが自分の武器」と前向きに語った。

 京大からのプロ野球選手は14年にロッテが2位指名した田中英祐(17年に引退)以来2人目、医学部からは初のドラフト指名となる。「理学療法士の勉強を生かして、スケールの大きな選手になりたい」と水口。東大と双璧をなしている日本トップの難関大学で、さらにその医学部で学ぶ男のプロ入りとなれば、注目を集めないわけがない。先輩・田中は夢半ばに終わったが、水口は「京大の野球」をプロの世界で存分に見せつける覚悟だ。

 ◇水口 創太(みなくち・そうた)1999年(平11)8月9日生まれ、滋賀県大津市出身の23歳。晴嵐小2年から晴嵐スポーツ少年団で野球を始め、北大路中では軟式野球部に所属。膳所では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。1年浪人後、京大では3年春からリーグ戦出場。1メートル94、102キロ。右投げ右打ち。

 ▽国立大在籍時にドラフト指名を受けた選手 昨年まで11人が指名を受けている。大学別では東大から井手峻(中=66年2次3位)、小林至(ロ=91年8位)、遠藤良平(日=99年7位)、松家卓弘(横浜=04年9巡目)、宮台康平(日=17年7位)の5人。筑波大からは小林昭則(ロ=89年2位)、杉本友(オ=96年1位)、坪井俊樹(ロ=08年4位)、佐藤隼輔(西=21年2位)の4人。横浜国大からは北川智規(オ=00年7位)、京大からは田中英祐(ロ=14年2位)が指名を受けた。そのうち、小林至と坪井以外の9人は1軍公式戦に出場。また、宮台、佐藤の両投手が現役でプレーし、ともに今シーズンは1軍登板を果たした。

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