さまざまな経験経て古巣ENEOS復帰 社会人野球にもたらす「田沢効果」に注目

[ 2022年9月13日 08:00 ]

オールフロンティアとのオープン戦でENEOS復帰後初の実戦登板した田沢
Photo By スポニチ

 あの男が、社会人野球に帰ってきた。08年以来、古巣のENEOSに復帰した田沢純一投手(36)が、11日のオープン戦でチーム復帰後初の実戦マウンドに上がった。救援登板し、1安打を許したものの、最速146キロをマークするなど衰えなど感じさせない投球で1回無失点に抑えた。

 レッドソックスなどでプレーしたメジャーをはじめ、台湾、メキシコ、BCリーグとさまざまな経験を経て、今年で36歳を迎えた。14年ぶりに袖を通したENEOSのユニホーム。「久々のマウンドに上がって懐かしいなと思っていましたけど、(現在は)強化練習中なので少し体が重いなと。一日練習するのは久々で、おじさんなので」と笑ったが、スライダーやスプリットも交え貫禄を見せた。

 6月中旬にメキシカンリーグのドゥランゴ・ヘネラルズを戦力外となり、同30日に帰国してからはいつオファーが来てもいいように、投球練習などの練習を行ってきたという。2カ月半ぶりの実戦登板。「いい緊張感の中で投げられたのはよかった。この緊張感がなくなったら辞めるべきかなと思う」と充実した表情を浮かべた。

 今夏の都市対抗野球を制したチームは、今秋ドラフト候補の関根智輝や加藤三範の両投手のほか、来秋のドラフト候補に挙がる度会隆輝外野手など、戦力は充実している。そんな中でなぜ、田沢の獲得に動いたのか。大久保秀昭監督は、こう説明する。

 「戦力が足りないから“田沢に頼る”というつもりで獲ってるわけではない。自チームだけでなく対戦チームの選手でも聞きたいことがあればどんどん活用して頂きたい。来る者拒まずの選手なので、それを含めて社会人野球全体のプラスにつながったら」

 NPBを経ずに米国へ渡った希少な経験をしてきた田沢だからこそ、伝えられることがあるはず。田沢自身も「プレーではもちろんですけど、それ以外でできる貢献があれば。コーチではないので、邪魔にならない範囲で聞かれたことは答えたい」と言う。チームだけでなく、社会人野球界にどんな「田沢効果」をもたらすのか、注目したい。(記者コラム・田中 健人)

続きを表示

2022年9月13日のニュース