広島・床田、ロッテ・朗希と充実の投げ合い 53キロ差“魔球”パームボールで全セ先発大役果たした

[ 2022年7月28日 04:45 ]

マイナビオールスターゲーム2022第2戦   全セ1ー2全パ ( 2022年7月27日    松山 )

<全セ・全パ>初回1死一、二塁、レアード(手前)を三ゴロ併殺に仕留める床田(撮影・北條 貴史)
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 「マイナビオールスターゲーム2022」は27日、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで第2戦が開催され、全セ先発の広島・床田寛樹投手(27)は2回1失点で大役を終えた。“魔球”のパームボールを多投しながら、ロッテ・佐々木朗との投げ合いを満喫。全パの連勝で幕を閉じ、セ、パ両リーグともに29日に後半戦が再開する。 

 佐々木朗は剛速球で、床田は遅球で松山の大観客を楽しませた。多投したパームボールの最遅は109キロ。球宴の日本人最速タイをマークした佐々木朗の162キロとは53キロ差で、野球ファンまでも惑わせた。

 「あれ(162キロ)を見せられたら次の回で直球投げられないです!だからパームを多めに投げました」

 本来は全球種のうち1割程度の割合に収まるパームボールが32球中11球を占めた。1―0の2回1死二、三塁で投じたパームボールは、松川に右前に運ばれる同点打とされた。それでも諦めずに選択し続け、2死一、三塁で迎えた清宮を1ストライクから3球連続のパームボールで空振り三振を奪い、2回5安打1失点で終えた。

 球宴の先発という大役には「絶対だめでしょ!」と自虐を込めて苦笑いする。加えて、注目を集めた佐々木朗との投げ合いにもなった。「全然緊張はしなかった。平常心というよりは“無”な感じ」と床田らしく淡々と投げ続けた。

 多投したパームボールは中部学院大3年まで持ち球としていた。しかし、大学4年でツーシームを習得して以降は使わなくなった。この“魔球”を思い出したのは、昨季の2軍降格時。めった打ちにあった試合中に「もう投げる球がない…。球速も遅いし(捕手も)捕れるやろ」とチェンジアップのサインを無視してパームボールを投じた。すると、打者のタイミングをうまく外すことができた。この遅球に手応えをつかみ、今季から本格的に採用。気付けば、夢舞台で多投するほどの球種となった。

 球宴で最も印象に残っている場面は、06年に阪神・藤川が見せた「予告直球」。その姿に憧れた床田少年は、少年野球の試合中に直球の握りを打者に見せてから投げたこともあったと言う。球宴に初出場した19年は憧れの右腕も選出されており、藤川が自身を認識していたことに大感激。いまや、球宴で先発を務めるまでに知られる存在となった。

 「しっかりと1試合ずつ投げて、何とか勝てるように頑張りたいです」。後半戦も遅球を駆使しながら順位争いを盛り上げる。(河合 洋介)

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2022年7月28日のニュース