ソフトバンク・黒瀬、再び支配下に 右の長距離砲が左投手攻略のキーマン

[ 2022年7月28日 04:45 ]

支配下登録を勝ち取ったソフトバンク・黒瀬

 ラスト1枠は右の大砲候補に決まった。ソフトバンク育成選手の黒瀬健太内野手(24)が支配下登録されることが27日、分かった。近日中に発表される。和歌山・初芝橋本で高校通算97本塁打を放ち、15年ドラフト5位で入団。18年オフに戦力外通告を受け育成で再契約し、7年目にして再び支配下をつかんだ。V奪還を目指すチームは左投手に苦戦する傾向があり、右の長距離砲に白羽の矢が立った。

 31日までに迫った期限。チームの支配下登録選手は69人で上限70人まではあと1枠。最後の座席を黒瀬が勝ち取った。今季はデスパイネ、グラシアルの両大砲が新型コロナウイルスに感染し、一時離脱。復帰後も本調子ではなく、2人の本塁打は計6本にとどまっている中で和製大砲候補にチャンスが巡ってきた。

 黒瀬は和歌山・初芝橋本から15年ドラフト5位で入団。「高校通算97本塁打」の肩書で注目を集めたが、3年目オフに戦力外通告を受け、育成で再契約。背番号3桁を背負いながら異例の7年目までプレーしているのは期待の表れだ。宮崎キャンプでは王会長が歩み寄り、身ぶり手ぶりの指導をするなど、長打力への期待は薄れていなかった。

 身長1メートル82、99キロの巨漢。今季はウエスタン・リーグで36試合に出場し100打数26安打。打率・260、7本塁打をマーク。特長は本塁打率の高さで約14打席に1本は打つ計算。選手生命を懸けて臨んだ今季は数字を残してきた。新型コロナウイルスの影響で主力が欠けた時期に藤本監督は「状態がいいのは黒瀬」と名前を挙げ、小久保2軍監督も「ダントツの推薦。判断するのは球団」と話すなど実力は織り込み済みだった。

 オフは21年から巨人・中田翔の自主トレに参加。一軒家を借りて、球場以外でも打撃理論を語りあった。フォーム改造から打席での考え方も変え、中堅から右方向にも飛距離が伸びた。広角に打ち分ける技術も磨き、猛アピールし続けた。

 チームは現在首位だが、5位まで2・5ゲーム差の大接戦。鍵となるのは左投手の攻略。チーム打率・255はリーグトップで右投手には・262。しかし、左投手には・240で右の大砲候補が必要な状況だ。挫折を乗り越えた苦労人が大輪の花を咲かせ、V奪還へのキーマンに名乗り出る。

 ◇黒瀬 健太(くろせ・けんた)1997年(平9)8月12日生まれ、大阪府泉南市出身の24歳。新家小1年から「新家スターズ」で野球を始め、ポジションは捕手。一丘中では「貝塚ヤング」(硬式)に所属。初芝橋本では高校通算97本塁打をマーク。15年ドラフトで5位指名を受け、プロ入り後に内野手転向。17年秋にはアジアウインターリーグのNPBウエスタン選抜に選出。1軍出場なし。18年オフに戦力外通告を受け、背番号「126」で育成選手として再契約されていた。

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2022年7月28日のニュース