中畑清氏 独走状態のヤクルトにセ5球団「包囲網」を

[ 2022年6月14日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】強かったねえ。ヤクルト。パ・リーグ全6球団に勝ち越してさ。交流戦完全優勝。14勝4敗、18試合制になった2015年以降の最高勝率・778でぶっちぎった。

 振り返れば、5月24日の初戦、日本ハム戦にその強さが集約されていたね。先発のサイスニードが5回に1点先制を許しながら8回、高卒2年目の代打・内山壮のプロ1号で追いつき、延長戦突入。10回、今野が招いた無死満塁のピンチを田口が無失点で切り抜け、11回に村上の2ランでサヨナラ勝ちした。

 6回以降6人の継投で無失点に抑えての勝利。高津監督が「リリーフみんながMVP」と話したように、鉄壁のリリーフ陣が安定した試合運びを支えている。チーム防御率2・73はリーグ2位でも、リリーフ陣の防御率1・85は断トツ。6月に入ってからは無失点というんだからね。

 去年チームを日本一に導いた「絶対大丈夫!」が今年はさらに浸透した感じだ。適材適所の選手起用で、個々の能力を存分に引き出す高津マジック。先発陣にも無理はさせない。中6日が主流になっている中、あえて中7日以上の間隔を増やしている。143試合の長丁場を見据え、十分な休養を与えているんだ。

 投手陣が安定すれば、野手も落ち着いて攻撃できる。19本塁打、53打点で目下2冠の4番・村上だけじゃない。塩見、山崎の1、2番に高卒3年目でショートの定位置をつかんだ長岡…。それぞれ数字以上にインパクトの強い仕事をしている。主役と脇役がつながり、どこからでも点が取れる打線。相手にとっては脅威だよ。

 交流戦前1ゲームだった2位巨人との差は7ゲーム、1・5ゲームだった3位広島との差は10・5ゲームに広がった。余裕を持って戦いながら早くも独走状態に入ろうとしている。

 手ごわい相手だけど他の5球団には気概を見せてほしいな。それぞれヤクルト中心のローテーションを組んで「包囲網」を張ってさ。いくらCSがあるといっても、まだシーズン前半。「無理しないで3位以上」なんて考えるには早過ぎる。ファンは、みんな優勝を望んでいるんだからね。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2022年6月14日のニュース