阪神・糸井 「寒くて体が動けへん」も甲子園バックスクリーン弾! 40歳開幕左翼スタメンへの号砲だ

[ 2022年3月7日 05:30 ]

オープン戦   阪神3-1楽天 ( 2022年3月6日    甲子園 )

<神・楽>4回1死二塁、中越えに2ラン本塁打を放ち、佐藤輝(左)とタッチする阪神・糸井(撮影・成瀬 徹)
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 不惑のバットが、開幕左翼への号砲を高らかに打ち鳴らした。阪神・糸井嘉男外野手(40)が、6日の楽天戦の4回に今春1号となる2ランをバックスクリーン手前に叩き込んだ。今年のチーム甲子園1号弾で地力の違いを見せつけ、ロハス・ジュニア、江越らとの左翼争いで一歩リードを奪った格好。阪神加入後の自身最速アーチが、開幕スタメンを見据えた仕上がりの早さも物語った。

 その打球に、迷いはなかった。高々と舞い上がり、一直線にバックスクリーン方向を目指した。不惑の糸井が放った豪快な一撃に、甲子園に詰めかけた1万1165人の観衆が酔いしれた。

 1―0の4回1死二塁だ。右腕・滝中が投じた直球を、完璧にとらえた。インパクトの瞬間、場内は無人の荒野のごとく静寂に包まれた。そして万雷の喝采。「お客さんが入った甲子園は最高」。2年ぶりの開幕スタメンへの号砲といえた。

 「追い込まれていたので変化球を粘れて、真っすぐに対応できたという内容が、良かった。今も本番も一緒なので、自分の場合は。結果が出るように頑張りました」

 コメントにハングリー精神が、あふれる。それは打席内のパフォーマンスでも同様だ。変化球3球で1―2と追い込まれたが、そこから粘り腰を発揮。直球中心に転じてきた攻めに、食らいついた。2―2から3球連続ファウルで粘り、8球目の失投を仕留めた。

 「3・6」の一発は阪神加入後6年目で自身最速の本塁打となった。「この時期は外が寒いので、40歳になると体が動けへん!」。毎度おなじみの「糸井節」で振り返ったが、その「体が動けへん」はずの時期からアーチを架けられる状態にあるのは、開幕に照準を合わせた調整が進んでいるからだ。矢野監督からも「いいホームランだった。キャンプから見本になってくれているところも含めて、よくやってくれている」と称えられた。

 今春は紅白戦、練習試合を含む8試合で打率・350(20打数7安打)。この日の一撃で「開幕左翼争い」はロハス、江越らを一歩リードするが、ライバルを意識することはない。自分との闘いだ。

 「(開幕スタメンも)目指しているのは目指していますけど、自分の納得いく一日を過ごして、それを継続していくだけだと思う」

 昨季は08年から継続していた開幕スタメンが13年連続で途切れるなど、悔しさを味わった。不退転の決意で臨む今季は春季キャンプから若手と同じフルメニューを消化し、レギュラー返り咲きを目指して汗を流してきた。「3・25」へ向け、「納得いく一日」を積み重ねるのみだ。(長谷川 凡記)

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