大リーグで労使交渉4~5年ごとに火花 ファンのために歩み寄りを

[ 2022年2月14日 05:30 ]

MLB労使交渉 5度目も決裂

2020年、4カ月遅れで開幕戦を迎えたナショナルズ・パークでのヤンキースーナショナルズ戦(AP)
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 【記者の目】大リーグで労使決裂により最後に試合がキャンセルされたのは、選手会がストライキを敢行した94年途中~95年。以降にもう一度、深刻な危機にひんしたのは02年だ。当時の労使協定が01年に失効し、翌02年は異例の「協定なし」の状態で開幕し、交渉を続けた。

 選手会は8月30日を期限にストライキ突入を通告したが、最後は財政面の窮状を訴えるオーナーの要求をのんで妥結し、ぜいたく税の導入が決定。合意しなければ同年ジャイアンツに所属した新庄剛志(現日本ハム監督)の日本選手初のワールドシリーズ出場も実現しなかったかもしれない。

 あれから20年。双方は4~5年に一度、協定失効のたびに激しく衝突する。現在の収益分配制度とぜいたく税は選手会が拒否し続けてきたサラリーキャップ(年俸上限)制のように機能。交渉は機構側がロックアウトという形で先手を打った形だが、過去の経緯を考えれば今回は機構側が可能な限り選手会の要求に歩み寄るべきだ。

 筆者は労使交渉は必要なものだと理解しているが、時に度が過ぎる。大谷の歴史的なシーズンの続きを誰もが楽しみにしている。現状のままではファンに愛想を尽かされ、大リーグの市場全体のパイが小さくなっていくだけだ。コロナ禍では20年のシーズンが60試合に短縮されるなど、オーナー側も選手側も打撃を受けた。新たなファンや市場を獲得してパイを大きくするためにも、創造性を発揮して協力できないものか。(奥田秀樹通信員)

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2022年2月14日のニュース