楽天復帰のマー君がキャンプ合流 思い出す超一流投手への転機となった11年キャンプ

[ 2021年2月6日 10:46 ]

<楽天キャンプ5日目>球場入りする田中将 (撮影・白鳥 佳樹)
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 ヤンキースをFAになり、8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手(32)が6日、沖縄県金武町で行われている春季キャンプに合流した。かつての絶対エース、そして大リーグで通算78勝を挙げた現役バリバリのメジャーリーガーの復帰は、楽天に大きな相乗効果をもたらすだろう。

 田中にとって、今キャンプはメジャーとは違う日本のボールに再び慣れるための準備期間だが、新たな取り組みを行う機会でもある。振り返れば、プロ5年目の11年のキャンプが「転機」となった。当時、担当記者の手伝いで取材していた記者は田中を追いかけた。アップの後、実内練習場に移動する際に雑談を続けた。投球練習の連続写真も渡した。少しでも参考になればという思いだった。ブルペンでの投球ではフォークを1球も投げず、落差が小さく、スピードの出るスプリットの練習を繰り返していた。なぜかと聞くと、田中は「フォークを封印する」と返してきた。

 「フォークは失投になるケースがありますから。スプリットなら失投が少ない。球速も出るし、直球と軌道が同じなので効果的。リスクを減らすために今年はフォークを使いません」。フォークは落差がある一方で、深く挟むために抜けることがある。さらにスピードがないため、打者に見極められやすい。球を引きつけて打つ打者も増え、手を出さないケースが年々増えていた。制球力の高い田中でも、フォークは危険な変化球だった。それを解消するため、浅く挟むスプリットの習得を目指し「球数も少なくできるし、(スプリットに)手を出してくれて1球で打ち取れるならいいじゃないですか」と笑っていた。

 田中は同年、そのスプリットを武器に当時、自己最多の19勝を挙げ、自身初の最多勝、最優秀防御率(1・27)、沢村賞を獲得。飛躍を遂げ、球団初のリーグ優勝と日本一に導いた13年の24勝0敗につなげた。メジャー1年目から5年連続で2桁勝利を挙げたのも、宝刀スプリットの存在なくして語れない。

 メジャーでは、打者の手元で沈みながら曲がるツーシームも磨き、投球の幅を広げた。メジャーでグレードアップした姿を日本で再び見ることができる。うれしい限りだが、一番見たいのはピンチでギアを上げ、鬼の形相で打者を打ち取る姿である。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2021年2月6日のニュース