韓国球界に精通する室井氏 阪神獲得アルカンタラは広い甲子園が合う

[ 2020年12月24日 05:30 ]

阪神と来季の契約を結んだラウル・アルカンタラ(球団提供)
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 阪神が獲得を発表したラウル・アルカンタラ投手(28=前韓国・斗山)について、韓国野球委員会(KBO)公認の名鑑を発行するなど、韓国プロ野球界に精通する室井昌也氏(48)がスポニチ本紙に原稿を寄せた。

 韓国KBOリーグのKT、斗山の2球団でプレーしたラウル・アルカンタラ。彼の韓国入りに関わったKTの李忠武(イチュンム)運営次長はアルカンタラにこんなアドバイスをした。

 「マウンド上ではモンスターになれ」

 しかしアルカンタラが「怪物ぶり」を発揮したのは李次長の下ではなく今季斗山に移籍してから。前年KTでの11勝を大きく上回る20勝を記録し、防御率も4点台から2・54まで下げた。アルカンタラは斗山での好調の理由を李次長にこう話したという。

 「蚕室(チャムシル)スタジアム(斗山本拠地)は広くてホームランの心配をしなくていいんだ」

 蚕室は中堅125メートル、両翼100メートル。アルカンタラは今季、蚕室で13勝を稼いだ。韓国はその他の球場も広めで、14、15年と阪神で抑えを務めた呉昇桓(オスンファン、現サムスン)も「セ・リーグの球場は狭い」と嘆いていた。それを思うとアルカンタラにとって球場の広さが投球に影響を与える可能性もある。

 アルカンタラは李次長にこうも言っていたという。「斗山の野手は守備がうまいんだ」

 1メートル75、70キロと小柄な左投げ左打ちのセンター鄭秀彬(チョンスビン)が俊足を飛ばして打球を好捕。アルカンタラを救った。

 ならば日本でも守備で盛り立てるしかない。「阪神にも近本光司という守備範囲の広い中堅手がいる。味方を信じてモンスターになれ」。そのひと言でアルカンタラを勇気づけたい。

 ◆室井 昌也(むろい・まさや)2004年から毎年、韓国野球委員会(KBO)公認『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を編集・発行する「韓国プロ野球の伝え手」。韓国留学中の02年、大統領杯国際ウリマル雄弁大会で外国人部門最優秀賞。著書にスポーツ朝鮮紙上での連載をまとめた『野球愛は日韓をつなぐ』など。有限会社ストライク・ゾーン社長。リポーター、MCとしても活動している。72年、東京生まれ。

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