×

【藤川球児物語(41)】カズの言葉に背中を押され阪神復帰を決意

[ 2020年12月24日 10:00 ]

15年11月24日、入団会見で感極まって涙を浮かべる藤川

 高知ファイティングドッグスでのプレーは楽しめた。気力も充実した。ただ、今後への懸念はあった。「メジャーに行った自分を、日本のプロ野球界、そしてファンは再び受け入れてくれるのか」。35歳になった藤川球児は悩んでいた。

 そんな時期に出会ったスーパースターの言葉が、迷いを消してくれた。「オレは面白いからサッカーをやっている。フィールドでは年齢は関係ない。キャリアも関係ない。プレーできる限りは現役を続ける。そう思っている」――。都内のサウナで偶然、顔を合わせたサッカー界のレジェンド「カズ」こと三浦知良(現横浜FC)の言葉に背中を押された。前に進もう。そう心に決めた。

 15年のシーズン、4年目の監督・和田豊率いるチームは3位に終わり、退任が決まった。後任にはかつてのチームメートだった金本知憲が就任。矢野燿大も作戦兼バッテリーコーチとして現場に復帰した。「戻ってこい」と2人から水面下で何度も熱いメッセージを送られていた。

 阪神は高知での全登板をチェックしていた。必要としていることは伝わった。地元でも少年ファン、タクシーの運転手ら多くの人から「早く阪神に戻ってきて」と声をかけられていた。藤川は決めた。やるからには過去の実績ではなく、今の自分の力でチームに貢献する。そう誓った。阪神とともにオファーをしてきたヤクルトには断りを入れた。

 15年11月24日に阪神の入団会見に臨んだ。背番号は18。それでも1軍確約や起用法の限定もない。35歳のオールドルーキーとしての入団は望むところだった。

 「自分の人生で一番大きな輝きをもたらしてくれたのはタイガース。これから全身全霊を傾け、グラウンドでいつ倒れてもいいような覚悟でやれるのがうれしい。最後に動かしてくれたのはファンだった。人の心として裏切ってはいけない気持ちが強かった。優勝パレードが一番したい」

 これが最後の舞台。最後の勝負の場。藤川は会見の翌日、鳴尾浜で5時間半のトレーニングを行った。 =敬称略=

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2020年12月24日のニュース