中畑清氏 人的補償廃止しドラフト指名権譲渡を

[ 2020年12月15日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】DeNAからFA宣言した梶谷隆幸と井納翔一の巨人入りが決まった。梶谷からは「これで本当の後輩になりました」って電話があったよ。たしかにジャイアンツの後輩になったんだね。

 FAは選手に与えられた権利。胸を張って新天地で暴れてもらいたいけど、気になっていることがある。人的補償だ。希望がかなった後輩の代わりに出ていくかもしれない後輩がいるんだ。

 FA選手は旧球団の年俸順位(外国人選手は除く)によってA(1~3位)、B(4~10位)、C(11位~)にランク付けされる。A、Bに関しては旧球団が人的補償を要求できる。おそらく梶谷がBで井納はC。DeNAは巨人がブロックする28人を除く支配下選手の中から1人を指名できるんだ。

 2017年に巨人へFA移籍した山口俊(現ブルージェイズ)の人的補償でDeNAが獲った平良拳太郎は4年で15勝。今回も若手有望株を狙ってるんじゃないかな。

 そんな中、巨人は直江大輔、山下航汰、鍬原拓也、堀田賢慎の4選手をいったん自由契約にして育成選手として再契約した。いずれも故障があり治療に専念させるということらしい。でもなあ。育成選手は人的補償の対象外なんだよ。

 育成を隠れみのにしたとは言わないけど、グレーゾーンであるのは確か。こんな動きが出てきた今、FA制度における新しい補償制度を検討するべきじゃないかな。

 私は人的補償に悪いイメージしか持てない。宣言して希望球団に行く選手はいいけど、その代償で移籍させられる選手の心中はいかばかりか。去年、巨人から広島に行った長野久義、西武に移籍した内海哲也のようにチームの功労者が出されるのも切ないよ。

 そこで提言したい。人的補償は廃止し、代わりに翌年のドラフト指名権を譲渡する。FA市場が動かなくなってしまっても困るから1位指名権ではなく、選手の実績や年俸によって2位、3位の指名権でどうだろう。

 もし人的補償を継続するのであれば、対象枠を育成まで広げるべきだね。

 とにかくクリーンであることが大事。誰もが納得する制度を考えていこうよ。(本紙評論家・中畑 清)

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2020年12月15日のニュース