阪神・矢野監督 コロナ禍で選手とのLINEを「迷ったんですけど結局やってない」理由

[ 2020年5月16日 14:04 ]

オンラインで取材で「矢野ガッツ」を見せる矢野監督

 阪神の矢野燿大監督(51)が16日、タイガースアカデミー生(ベースボールスクール・ダンススクール)と保護者とのオンラインミーティングに参加後、報道陣の取材に対応した。

 以下は一問一答。

 ――オンライン相談室の感想

 「このような状況で本当に皆さん大変な状況だというのはもちろん僕も理解してやらせてもらったんですけど。これは僕の勝手な思いですけど、今やっている間はちょっとそういうことも忘れられて、未来の話であったり楽しい話であったり何かそういうものができる時間になったんで。僕自身は楽しくやらせてもらえたんでよかったなと思います」

 ――監督自ら企画に至った経緯

 「喜んでもらうって多分色んなことがあると思うんですけど、今はこういうこと(オンラインでの交流)ができる時代になっているんで。僕が話すことで喜んでもらえるんだったら何かできないかなということでちょっと相談させてもらって、このような形にしてもらいました」

 ――6月半ばから下旬での開幕を目指す

 「先がなかなか見えない状況がずっと続いてきていたので、その中ではまだまだもちろん油断はできないですけど、先が見えそうな状態まで来られたっていうのは進んだなって感じに思っていますし、このまま良い形で進んでいって僕たちの野球で少しでも喜んでもらえるようなことができたらいいなって、それが近くになってきたと思えるようになってきました」

 ――感染者数が減ってきた

 「もちろん嬉しく、減ってきているのはみなさんの努力の結果だと思うので嬉しく思っていますし、まあでも本当に見えないものなので、またどうなるかって不安な気持ちもみなさん持ち合わせていると思うので。不安な気持ちもありながら、でも未来に向かってやっていこうと思っています」

 ――谷本球団本部長が今後の活動については監督と話し合いながらと。その後話し合いの場は

 「そうですね。まあ(話し合いの場を)もって明確(な時期)というかそういのはなかなか決められない状況ですけど、先ほど話したとおりちょっとは先が見える状況になってきたので、なんとなくこういう形でやっていければいいよねっていうような話の段階まできたので、ちょっと話が前に進んで。今までは各自で体を動かしてもらってという所でしたけど、全体としてどういう風にやっていこうかって外枠の話ができたっていうのは進んだなと思います」

 ――話し合いはいつ

 「話し合いは今日またしましたし。はい、今日です」

 ――全体練習再開の話題は出たか

 「どうしても準備期間というのは僕たち必要になってしまいますので、これは今のコロナの状況を見ながらっていう形にはなっていきますけど、準備段階としてやっぱり強度を上げながらチーム全体としてチームを作っていって、ファンの人たちに喜んでもらうって所にいくにはそういうのが必要になってくるので。緊急事態宣言解除とかいろんな事が関わってくるとは思うんですけど、全体練習のことも考えていこうと今日集まって話した中で思いました」

 ――監督、コーチが練習に参加

 「それもちょっと見えてきましたので。今まではどうしても密が作れないという状況の中でどのようにやっているかというのは直接見るってことはできなかったですけど、これもしっかりした対応を球団としてもみんな考えてくれていますので、密にならないような状況の中で僕たちも選手がどのような状況かなというのは見ていきたいなという話にはなりました」

 ――選手らと会った際にどのように声をかける

 「このようなことって本当にみんななかったことですし、なかったからこそ考えられたり振り返られたり、気づけたことっていうのはみんなたくさんあったと思うので。これは去年のクライマックスシリーズのときもそのような話はしたんですけど、野球ができることが当たり前じゃないってみんな気づいたって思いますし、もし開幕できたとしてもお客さんのいない中でやる可能性も十分高いと思いますし、今までの当たり前が感謝できるっていうことに気づけていると思うので。そういうのは僕らも話していきたいし、選手のそういう言葉も“どうだった?”ってのは全体で聞くのはちょっと無理かもしれないですけど、なにか聞くようなことはしていきたい」

 ――意気込み

 「意気込みですか?やる気満々ですよ。もう言っているように日本一になるって決めて2020年スタートしていますし、この大変なことがあった年に優勝できるっていうのは本当にいろんな、僕たちも得ることはありますし、ファンの方に与えられることもあると思うので。コロナがあった年だからこそ俺らは日本一になって、野球界、タイガースファンを喜ばせるってことをしていきたいとさらなる強い気持ちになっていってるんで。2020年も、矢野ガッツ、やりまくります!」

 ――この期間で気づいたこと

 「こういうの(オンライン通話)もすごいよね。こういうことができるっていうのがすごいなと。もちろん変わらざるを得ないという状況でこうなっている部分ももちろんあるんやけど。なんか会いに行かなくてもこうやって会える、会ってないんだけど会えるような状況に近いものになるっていうのはすごいと思っているし、俺もこのようなZoomとかそういうもので話したり見たりできることはすごいなと思っている」

 ――選手たちに期待していること、不安に思っていること

 「またみんな成長しているんじゃないかなっていうね。俺自身もそうなんやけど、なんとなくそう思っているところがあって、みんなもそうだと思うんだけど、俺も本好きやから本とか読むとやっぱり俺らに平等にあるのは24時間って時間と死ぬって事。それってあんまり普段自覚できていなくて、読んだときとか自分でそうやなって思えるときはあるんやけど、今まさにみんな体験していることで、これって当たり前じゃないなって気づきの中からみんなそれぞれがそれを実感して成長して、俺ら何のために野球やるのかとか、何のために…っていうのところがすごくみんな気づけているんじゃないかなって思うと、何かそれぞれみんながそういう部分では成長しているんじゃないかなと思う。不安は今はそんな別に思ってないんやけど、不安というか心配は、始まったときにみんな張り切ると思うので、そこで張り切りすぎてっていうのは怪我とかにつながる可能性もあるかなって思うので、俺らがしっかり見られる時期になったとき、全体で動けるってなったときにはそういったものも見ながら、対話しながらやっていく必要はあるのかなっていうぐらいかな」

 ――最近矢野ガッツがでるような面白いことはあったか

 「矢野ガッツ…さっき(アカデミー生とのオンライン相談室)出しましたよ。(笑い)子どもたちとか話できるっていうのは僕自身すごくやりたいことなんで。子どもたちを笑顔にしたいとか夢をタイガースから持ってもらえたらなと思ったりするんで。そういえばさっき久しぶりに子どもたちの前で矢野ガッツ、なかなか矢野ガッツも自粛が続いていたんで。ちょっとうずうずはしていたんでさっきできたんで良かったです」

 ――在宅期間で一番時間を費やしたこと

 「やっぱり本を読むことですかね。本は30冊以上読んでましたし。後は今本当にすごい時代ですよね、YouTube見たら何でも知れるんで、YouTubeみてトレーニングみたいなこともしましたし、自分が気になる人のを見たり学んだりいろんな事ができたんで。後はなかなか自分もできないんですけど振り返りっていうか、自分の中で何が本当にしたいのかなとか、自分を見つめるというか。その時間は多くは取ってはいないですけど、そういうこともやったりしました」

 ――特に感銘を受けた本

 「2回読んだものもあったんで。これは宣伝ですけど、僕の同級生の吉本にいる高山(トモヒロ)っていう芸人さんがいるんですけど。同じ野球部で頑張っていた高山が書いた「手のひらの赤ちゃん」っていう本があるんですけど。高山から連絡もらって知らなかったんですけど、連絡くれたんですぐ取り寄せて読んだんですけど、350グラムくらいで産まれてきた高山のお友達のお子さんだったんですけど。その本を高山が書いているんですけど…まあ涙します。300…手のひらですよ。本当にお父さんお母さんの頑張りと、その子の頑張りと、高山の本に対しての思い。医療のこともすごく勉強してるはずですし、高山に書いてくれってお願いしてその本を書いたみたいなんですけど。高山に書いてもらってよかったんじゃないかなって本当に思えるような一冊になっていると思うんで、本当にいろいろ考えさせられる本でしたので、みなさんも良かったら」

 ――予祝として日本一になる日を決めている。何か感じたこと、変わりは

 「感じたこと…それはないですし、ずっと決めている事なんで。僕の中では優勝するって当たり前のようになっているので、改めてなにかっていうのはないですけど。予祝の中で実際に優勝したときの予祝インタビューっていうのもあるんですね。今年日本一になってインタビュアーの方が僕に“監督、日本一おめでとうございます”っていうのを実際にやるっていうのがあって、それがすごく臨場感があって、そういうのをつい最近もやったんですけど。そういうのをやっています」

 ――選手とLINE(ライン)等でコミュニケーションを取ることは

 「それも迷ったんですけど結局やってないんですね。本当に先が見えない状況の中で、なにか中途半端なことを言えないなと思って。“じゃあ俺ら頑張るぞ”ってコロナでこんな状況になったからこそ俺ら行くぞっていうのは僕はいつもそんなことも言っているし選手には言っているんですけど、今の前の段階でそれを選手に話した所で、いつ始まるかわからへんし、これがどうなるか見えへんような状況でみんなそれをどう受け止められるのかなって思ったときに、ちょっと浮いちゃうというか、なんかそこにみんなそう思うというか…実感としてみんなが思ってくれるのかなって思ったときに俺の中でそれができなくて、勝手な俺の思いやけど今はさっきも言ったとおりみんなすごく感じているんちゃうかなって思って。今は感じるだけ感じてもらって、だいぶ先がみえた状況になってきて実際みんなでやれたときにそこでじゃあどうやったと共感して俺らが目指す所に行くっていうほうがいいのかなって思ってて。自分の中ですごく葛藤もあって、やったほうがいいのかなとか、俺からなにか選手に対してメッセージだしていかないとダメなんじゃないかなとか。良い悪いは判断できないんだけど、ちょっと自分の中ではそこに本気になれないというか、先が見えないという部分で難しさがすごくあって、やってない」

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