夏の甲子園中止へ 独自開催なら各地方高野連の運営力試される 大学側も最大限の救済は不可欠

[ 2020年5月16日 05:30 ]

 第102回全国高校野球選手権(8月10日開幕予定、甲子園)が中止の方向で検討されていることが15日、分かった。中止になれば戦後初めて。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、センバツと同様に開催困難との見方が広がっていた。日本高野連は20日に運営委員会を開き、中止を発表するとみられる。各都道府県の高野連では、3年生の「最後の晴れ舞台」として地方大会を独自に開催する方法を探っている。

 【記者の目】春に続いて夏の甲子園も絶望的な状況となった。無観客開催を想定するなどの対策を打ち出してきたが、それでも開催の見通しが立たなかった。

 現時点で学校が再開し練習試合もできている県があれば、夏季休暇延期で8月末まで休校が想定される県もある。これほど大きな差があると6、7月に一律で地方大会を開催するのは難しい。日本高野連からは各地方高野連に「49代表がそろわなくても甲子園を開催すべきか」との問い掛けがなされていたという。日本一を決める夏の甲子園だけに49代表がそろうことは大前提。それが厳しいとなれば、議論は中止へ向かわざるを得なかった。

 競技続行を希望する3年生の進路にも大きく関わる。大学の推薦では全国大会出場を一定基準としているケースが多い。不可抗力で出場の機会を失っただけに、大学側の最大限の救済が不可欠。ある高校の指導者は「中止を覚悟して“受験勉強に専念したい”という部員も出てきている。もちろん大会に出たい部員もいるし、それぞれの気持ちを大切にしていかなければ」と語った。

 例年は8月末に新チームによる秋の大会が始まる。独自開催の際には、各地方高野連の運営力も試されることになる。 (アマ野球担当キャップ・松井 いつき)

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